新着宝石展示室
( New Gemstone Gallery )


2022 August : 楔石/チタナイト/スフェーン(Titanite/Sphene)


 
1.03ct  Madagascar 0.43ct  Afghanistan


         
1.03ct 7.17x5.26x3.69mm 0.43ct 5.29x3.93x2.67mm
Madagascar 
       
 
    Afghanistan
 れっきとした和名があるのに、今日滅多にその名で呼ばれないのが楔石です。
これは結晶の形が楔(くさび)に似ているため、ギリシア語で楔を意味する ”sphenos : スフェノス ” に因んで命名された鉱物名ですが、その英語読みの ”Sphene : スフェーン” が一般的になっています。
 もう一つ、チタンとカルシウムの珪酸塩という化学組成から、鉱物名としてチタナイトと呼ばれています。
 とりわけ、宝石業界では、その高い屈折率と、ダイアモンドを凌ぐ複屈折による煌めきが人気を呼び、近年カラット当たり数万円から10万円という高値で取引されています。
 ただしモース硬度が5と柔らかく、傷つき易い為取り扱いには注意が必要です。
 今回入手したのは、マダガスカル産の濃い緑色のスフェーンです。
この緑色はクロムによる発色とされていて、金色や褐色のスフェーンと比べて、宝石としての価値が高く、人気が高い色合いです。
 さらに2010年ごろアフガニスタンとパキスタンの国境近くで発見されたスフェーンは、緑色から橙色への色変わりを示します。
 これは最大で2000ppmと高いヴァナジウムを含むためで、一般にマダガスカル産の緑の
スフェーンと混同されて、クロム・スフェーンと呼ばれることもありますが、実際にはクロムは含まれていません。
 山岳性の熱水鉱床という産状から、大量に採れる訳ではなく、とりわけ宝石質の結晶は数が少なく、アフガニスタン産の新しい産地のものを見かける機会は滅多にありません。
 発見から10年余り経って、ようやく入手できました。
 
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