くつやのねこ

(いまい あやの)


   

 この10年余り、本屋を訪れる機会が殆どなくなってしまった。
何処の本屋も雑誌や漫画等々、駅のキオスク並みの品揃いで、本棚を眺める気さえも起こらなくなってしまったからだ。
 そんな中で、たまたま足を踏み入れた本屋の児童書向けの棚に並んでいた絵を見て,殆ど衝動買いをしてしまったのがこの絵本だった。

 子供の頃から、初山滋や武井武雄の描く絵本には親しんでいたし、童話や民話、創作童話などの絵本の挿絵は、画家の想像力や感性、色彩感覚などの試金石でもあり、聴きなじんだ物語が挿絵次第で驚くほどの変貌を遂げることを何度も経験していたので、本屋の児童図書の棚はよく覗いていたものだ。

 この絵本は、フランスのペロー童話集等に収められている ”長靴をはいた猫 ” を題材にしたものだから、同じ題材に基づく無数の絵本が世界中で発行されているに違いない。

 この絵を描いた いまい あやの は武蔵野芸術大学で日本画を学んだひと。
繊細な筆致や配色、物語に相応しい構図のとり方等、お見事! というほかはない。
 他にも  ”いなかのネズミとまちのネズミ” ”108ぴきめのひつじ” 等の作品があり、ボローニャ国際絵本原画展では毎年のように入選している。
 ”くつやのねこ” は2011年度判平凡社の『別冊太陽 : この絵本が好き』の国内絵本ベスト1、さらに2011年 スロヴァキアのブラティスラヴァ 子ども審査員賞を受賞している。

 そんなわけで、今でも本屋の児童絵本の本棚の目立つ場所に展示してあったのが目に留まったというわけ。


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