ダーククリスタル
(The Dark Crystal)


   
 ミスティック族の長老 ゲルフリン族のジェンとキーラ
ダーククリスタル  スケクシス族 

 ダーククリスタルはセサミストリートを制作したジム・ヘンソンがスター・ウォーズのヨーダを演じた、映画監督、声優、プロデューサー等、多彩な才能を持つフランク・オズと共に1982年に制作したファンタジーだ。

 既に傑出した宇宙大活劇シリーズとして世に出ていたスター・ウォーズとは対照的に、マペットによるアニマトロ二クスにて操作する人形劇という手間のかかる手法で制作されたためか、その後続編もなく一作だけで終わってしまったが、記憶に残るファンタジーの傑作となった。
 登場するキャラクターは、セサミストリートのマペットとは全く異なる、イギリスの妖精画家、ブライアン・フラウドのイメージを基に制作された、如何にもファンタジーに相応しい幻想的な魅力に溢れている。
 1983年のアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭グランプリ、サターン賞ファンタジー映画賞、1984年の星雲賞等を獲得している。

 物語は ; 

 惑星トラにて1000年毎に起こる三つの太陽の蝕による大合致にて、暴虐な種族、スケクシスが支配する城に据えられたダーク・クリスタルが巨大な力を取り戻すことが出来るか ?

 巨大な紫水晶のようなダーククリスタルは、1000年前の三つの大合致の時に一部が壊れ、破片が失われてしまった。そのために世界が壊れてしまったものだ。
 だが、”三つの太陽が一つに輝くとき、分裂し破滅したものたちは一つに統べられる。
 二つを一つにするのはゲルフリンの手によって、あるいは無なり” との預言が残されている。

 この預言のために自分達が滅ぼされると考えた支配者のスケクシス族はゲルフリン族を滅ぼしてしまった。

が、生き残って、穏やかな賢者の種族ミスティック族に保護されていたジェンが、惑星の別の種族ポッド族に助けられていた同じゲルフリン族のキーラと出会い、魔女のオウグラや惑星トラの他の種族や生き物たちに助けられ、預言の通り再び三つの太陽の蝕による大合致の時に、失われたダーククリスタルの破片を元に戻して失われた世界を再生する、という如何にもファンタジーに相応しい壮大な構想の物語だ。
 このファンタジーを魅力的な作品に仕立て上げた立役者が、創造性に富むキャラクターと、念入りに作られた映像や様々の道具立てだ。
 これほどに手の込んだ作品をスター・ウォーズのようにシリーズものとして作り続けることはコンピューター・グラフィクスを多用しない限り不可能だろう。 
 だが、スターウォーズの続編がCGを多用するあまり、当初の宇宙大活劇としての面白さをすっかり失ってしまったように、映画の面白さとは人間的な要素があってこそのものなのだ。と、思わずにはいられない。
 ところで、スターウォーズ以降全盛を極めることになったコンピューター・グラフィクスによる映像作成の分野で世界をリードするILM (Industrial Light Magic) という技術集団は、このダーククリスタルではマペットの操作や、魔女の館にある精緻を極めた太陽系儀等のアナログの操作を担当している。
  

物語に登場するキャラクター達
       
キーラが乗るランドストライダー  女のキーラには翼がある!  スケクシス族が操るロボット兵士  ダーククリスタル  三つの太陽の大合致
         
   
穏やかな賢者の種族のミスティック族の長老に学ぶジェン  魔女のオウグラ  伝説の魔女の館に据えられた太陽系儀 
     
   
三つの太陽の大合致により、分裂していたスケクシス族とミスティック族
とが合体してウルスケクシス族に復活して異次元世界に戻ってゆく 
荒れ果てた大地から美しい星へと復活した惑星トラ 

 テキストを書くにあたって、ウィキペディアを参考にしたが、単に映画を見ただけでは到底得られないような、膨大な情報量には驚かされた。
 熱狂的な愛好家が書いたものだろう。が、なるほどと肯ける。
 スターウォーズのような世界的なヒットになったわけではないが、一部の愛好家には伝説的な存在となったファンタジーの最上の傑作であるからだ。

 この映画は20年ほど昔に、NHKのBS放送で一度だけ放送され、Hi-8のソフトが発売された。テープは残っているが、Hi-8デッキが壊れてしまい、修理も不可能で悔しい思いをしていたが、最近ブルーレイで再発売された。
 なんとアマゾンで1,300円と、かつてのテープの十分の一の値段で早速入手した。 ところがどうやっても映像が見られない。 
 古いブルーレイレコーダーなので、ソフトのヴァージョンの問題かと、アップデート用のCDを入手したが、それでも絵が出ない。
あれこれ試してみて分かったのは、映像出力をデジタル伝送の HDMI ケーブルを使わないと絵が出ないということに気づいたのは1か月余りたってからのことだった。
 何しろ20年以上昔のモニターとプロジェクターも15年前の、いずれもアナログ入力の機器を使っていたからだ。 
 どうやら市販のブルーレイ・ソフトにはデジタル信号アウトしか入ってないらしい。
よもや20年以上昔のアナログしかないモニターを使っている客がいるとは思ってもいないのだろう。
 結局、HDMI入出力のあるAVアンプと最新のプロジェクターとを購入する羽目になり、2か月余りかかってようやくブルーレイによる素晴らしい映像を見られるようになった。 
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