リシャール・ドゥ・プレマール
(
Richard de Prémare )
リュクサンブール公園
(Jardin du
Luxembourg)
Paris Jardin
du Luxembourg Richard de
Prémare 71x59cm |
パリの中心部にある、リュクサンブール公園とリュクサンブール宮殿 (Palais et Jardin du Luxembourg、Paris) |
パリの中心を流れるセーヌ川に二つの島がある。
一つはノートルダム寺院で名高いしてシテ島、その東端部のサン・ルイ橋を渡るともう一つのサン・ルイ島だ。
1991年の冬、この島に車で入ったところ、狭い一方通行の道で大渋滞にまきこまれた。
身動きの取れない車の窓から見えたのが、画廊のウィンドーに展示してあった冒頭の絵だった。
10分余り眺めていて、渋滞後に画廊に戻り、あらためてじっくりと眺めて値段を訊ねたところ、意外と手頃な水準なので、思わず衝動買いした次第。
これはリュクサンブール宮殿が画家に発注した公園の絵の連作の内の一部が個展に出品されていたもの。 この大理石像は公園の地図の南西の端の下から2番目の黒い点の位置にある。
リュクサンブール宮殿は、アンリ四世の妃であったメディチ家出身のマリー・ドゥ・メディシスがアンリ四世亡き後にルーヴル宮殿を出て、新たにセーヌ河左岸、パリの中心部に建てたトスカーナ・スタイルの壮麗な宮殿だ。
現在はフランス元老院と国会議事堂となっている。
公園の一角にはフランス最高の理科系のエリート大学である ”国立高等鉱山学校” がある。
リシャール・ドゥ・プレマール (1936 〜) は日本では全く知られていない。
が、ドラクロワ等々、錚々たる画家の絵が展示してある美術館もある宮殿に飾られる絵を注文されたからには、フランスでは高く評価されているに違いない。
とりわけ、この絵は、全体の構図の巧みさ、色合いのバランスの美しさ、空間の表現等々、一見して魅了された。
画家のデッサン力の見事さを示すのが、中央の大理石像の描写だ。
中央の大理石の彫像が、作品の中央に見事な存在感を持ってこの絵を一段と引き締めている。
ところが近寄ってみると、単に白と灰色の絵の具が一見無造作に塗られているだけ。
しかし離れてみると、堂々たる大理石像なのだ。
その腕前の達者なこと、ベラスケスやティントレットの絵の肖像画の人物が身に着けている繊細なレースが、実は白い絵具をさっと一刷毛しただけで表現しているのと同じ水準だ。
この個展には、下記のような作品が展示されていた ;
Le Marché aux fleurs à Nice 61x50cm | Le port de Dieppe 60x73cm | Jardin du Luxembourg 81x65cm | Sur les bords de la Blangy 50x61cm | |||
ニースの花市場 | ディエップの港 | リュクサンブール公園 | ブランジーの川辺にて |
いずれも魅力ある作品がリュクサンブール公園の連作も含めて30点余り展示してあった。
とりわけ ”ディエップの港” の絵は何とも美しい色彩と、構図のバランスに魅力があり、最後まで迷った。
もう一つのリュクサンブール公園の、同じ彫像を別の角度から眺めた絵も良かったが、最初に長時間渋滞の車の中から見ていた冒頭の絵がやはり、最も気に入ったのでこれに決めた。
さて、リュクサンブール宮殿では一体どの絵を買い上げたのだろうか。後で訪ねてみたが、どこにも見当たらなかった。
美術館は何処でも膨大な所蔵品を持っているから、常時全ての所蔵品を展示しているわけではないのでやむを得ない。 何時の日にか見たいものだ。
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