結晶コレクターの素顔
(Profile of a Crystal Collector)

Giazotto Collection ( Photos by J. Scovil, R. Appiani & Adalberto Giazotto)
Topaz 22x16x23cm
Xanda Mine Minas Gerais
Brazil
Aquamaline 64x30x30cm
Nagar Dassu
Pakistan
Kunzite 45x20cm
Mavi Afghanistan
Morganite 23x18cm
Corego do Urucum
Minas Gerais Brazil
       
Tourmaline 28x5cm
Colonel Murta, Minas Gerais
Brazil
Tourmaline 35x15cm
Pederneira, Minas Gerais
Brazil
Gypsum on Sulfer 24x17cm
Cozzodisi Mine, Sicilia
Italia
Morganite 27x10cm
Golconda Mine, Minas Gerais
Brazil
  冒頭の写真はイタリア,ピサの個人の鉱物コレクションの一部です。
結晶の色や形もさることながら、その大きさにも注目してください。ここでは単位はミリメートルではなくセンチメートルです。
 即ち普通に鉱物フェア等で見かける標本と比べると体積では数百倍にもなるいずれも博物館級の絶品ばかり1000点余りが全て個人の手になる空前の博物館です。


 コレクターの名前はアダルベルト・ジャゾット氏 (Sr. Adalberto Giazotto) 。 
1949年に始まった結晶コレクションは,現在では1000点をを越えイタリアのピサに “Giazotto Mineral Collection ” として博物館があります (見学は事前の予約が必要)。
 コレクションの一部は宝石、鉱物写真の専門家Jeff Scovilとジャゾット氏自らのプロ顔負けの写真によりインターネットに公開されています。 2005年3月にさらに新しい標本多数が追加されました。

 氏のホームページの鉱物結晶写真はそれぞれが200〜400KBという大きな情報量を持ち、ほぼ実物大の大きさでこれらの結晶を見ることが出来ます。 
 氏が鉱物結晶のコレクションを始め、ネット上で公開するに至ったのは次のような理由からです ; 

  大きく美しい鉱物結晶標本は、美術作品の傑作と同様に極めて稀な存在だ。
だが、採掘の際に爆破されたり、乱暴に扱われて傷ついたり、あるいは宝石として研磨されたりして、失われてしまう例が大半で、見事な標本が保存される例は極めて少ない。
 例えば絶滅に瀕した動植物なら特別の保護で再生し増殖させることも可能だが、破壊され失われてしまった鉱物標本は二度と回復できない。
 そんなにも貴重な鉱物標本にもかかわらず、これを保存しようというという意見も動きは皆無に近い。
何故なら、一部の博物館の研究員や熱心な鉱物収集家を除いては,鉱物結晶の美しさが世間では全く知られていないからだ。
 美術品の愛好家や専門家の間でも,鉱物結晶の美しさや科学的な意義を認識するには至らない。
 もし,自然界の奇跡でもある結晶が美術館に展示され、多くの人々の目に触れるならば,美しい結晶への関心と理解が深まり、そして貴重な鉱物結晶を維持保存しようとする動きが高まるに違いない。

 との信念で、ジャゾット氏が半世紀余りをかけて収集した世にも稀なる1000点を越える見事なコレクションの全貌を、日本の片隅でもインターネットにてほぼ実物大の大きさで何時でも楽しめるという有難いご時世になりました。

 Those mineral photographs are from the private collection in Pisa, Italy. Not only the color and the shape, but also the size of specimen are exceptional ; here the unit is in centimeter, not in millimeter as commonly seen those at mineral shows. So those are several hundred times bigger.
 All with extremely-high museum quality , total over 1000 specimen are owned by one private collection.
 The Collector's name is Mr. Adalberto Giazotto. He started the collection in 1949 and with over 1000 specimen are in his own museum "Giazotto Mineral Collection" in Pisa.
 Entire collections are being shown to the public via Internet with phots by gem and mineral photograph speciast, Jeff Scovil and Mr. Giazotto, himself too. Since all images on website have 200-400KB each, you can see those specimen almost at real size.

 Following is the reason why he started his collection and decided to show to them to the public via internet ; he survival of a large exceptiona specimen is an extremely rare event, because nature is avaricious of outstanding specimen and dynamite blasting is idely used for ore extraction ; blasting destroys everything and gem cutting activity have destroyed fantastic specimen, too.
 Only a few uncut, undamaged material is preserved.
 While living creature close to extinction, may be repopulated by means of an appropriate environmental protection , the mineral heritage is destroyed forever.
 Apart for the effort of few dedicated people such as museum curators and mineral collectors, there is no "wide culture" nor consciousnes to preserve the natural aesthetics and the scientific message of mineral specimen.
 Perhaps if outstanding mineral specimen will be displayed in art musem, this deep cultural void will be overcome and finally people's understanding will put these objects ithe highest rank of excellence.
 With this spirit, Mr. Giazotto, spending over half a century, collected superb mineral crystal specimens and thus his collection became splended, one of the top collections in the world.
 Thanks to Internet , a great benefit of the modern-day technology, we can enjoy seeing his entire collection whenever we want at any place in the world.
 

A profile of Mr.Giazotto  


  Smithsonian and all those well known natural history museums in the world, such as Los Angeles, London, Paris,
 Milan, etc., have made hundreds of years\rquote  effort to build their collections to date, enriched by
 donations from famous billionaire collectors, such as Morgan, Carnegie, Hixon, etc.

  It is not surprising to find people like Keith Proctor and William Larson who are mineral specimen dealers to
 have nice collections. But when we find such a great mineral collection established by mere single person, 
the collection even could exceed some of prominent museums in the world, we have to wonder what kind of person
 he is.
The answer is that this one and only mineral collection in the world is done by Mr.Giazotto as his hobby, and
 his real job is to challenge the far more greater thing:
That is, most difficult and ambitious project pursued by human beings, to search for the gravitational waves.
 Mr.Giazotto is the leader of Virgo project, a collaboration of France and Italy, and plays active part in the
 most advanced technology in the world.
I did not expect to find out that the top mineral collector in the world to be also an important physicist who
 is in the top group in modern-day science.

 

ジャゾット氏の素顔

 スミソニアンやロス・アンゼルス、ロンドン,パリ,ミラノ等々、世界の名だたる自然史博物館の鉱物結晶コレクションは、いずれも何百年もの歳月とさらにモルガン,カーネギー、ヒクソン等々,錚々たる大富豪の寄付によって今日に至っているものです。

 アメリカのキース・プロクターやウイリアム・ラーソンのような鉱物標本業者はともかく、世界的な博物館を凌駕するほどの鉱物結晶コレクションが全くの個人で成し遂げられたとなれば、それは一体如何なる人物なのかという興味がわいてきます。

 結論から先に申し上げれば、この空前絶後の鉱物結晶コレクションはジャゾット氏のほんの趣味に過ぎず、本業は遥かに凄い仕事に挑戦されているのです : 

 それは、かつて人類が挑戦した、最も困難で野心的な重力波検出のプロジェクトです。

ジャゾット氏はフランスとイタリアが共同で進めている重力波検出プロジェクト ”Virgo” の代表者として、世界の最先端技術の分野を率いて活躍しています。

世界的な鉱物結晶のコレクターが実は最先端の科学の分野で活躍している物理学者であるという思いがけない展開になりました。

 氏の “Giazotto Mineral Collection” こそは、私の ”空想の宝石結晶博物館” とは,標本の質,量こそ大違いですが,志を同じくするもので,大いに共感を覚えます。 
 さて、そのジャゾット氏の本業が重力波検出という、まさに ”Mission Impossible (スパイ大作戦ではありません、本来の意味 : 不可能への挑戦です。ー念のため” と分かったからには、それがどんなに困難で、しかし意義のある仕事なのか、鉱物結晶の美しさと同様、その内容も科学的な意義も一般には殆ど知られていませんから、及ばずながら,私があらましを紹介する次第です。

今回は大脱線して重力波検出について述べてみましょう。

 興味の無い方はホームページでジャゾット氏のコレクションをじっくりとお楽しみ下さい。


重力波とは何か ? What is the gravitational wave ?

 
 1916年に発表されたアインシュタインの一般相対性理論は彼自身のみならず全ての物理学者による如何なる業績をも凌ぐ最大の業績ということになっています。
 発表時は世界で8人しか理解できなかったと言われるほど難解な理論で、当然ながら門外漢の私などに理解できるものではありません。 
 しかし重力波検出について知ろうとすれば少しは専門的な資料にも当たらなければなりません。 そこでいろいろ素人向けの易しい本などひも解いて見たところ,何と何と、一般相対性理論の本質とは、実は相対的な重力理論に他ならないということが分かりました

そして、この一般相対性理論から導き出されたのが重力波の存在でした。

 アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論の核心は電磁気学が相対性理論にも当てはまることを理論付けたものです。
 即ち、電荷が加速度を持って運動すると電磁波が放出されることを予言したものです。
同様の理論を重力にまで拡大して、質量が運動すると重力波が放出されることが一般相対性理論で予言されたわけです。


 この電磁気力と重力との二つの力とをまとめた統一理論を完成するというのがアインシュタインの後半生をかけた試みでしたが、残念ながらそれを成し遂げることは出来ませんでした。
 アインシュタインの天才を持ってしても、”神はサイコロを振らない” と量子理論を認めなかったために, その後の理論物理学の進展から全く取り残されてしまったのは大きな損失であったと言わねばなりません。
 しかしながら、人類史上もっとも偉大な理論で予言された重力波の存在を実験で検証することで、アインシュタインが抱いていた、電磁気力と重力に加えて、原子間の弱い力とクウォーク間の強い力とを合わせた自然界の4つの力をまとめる超大統一理論への道が開けるのではないかと期待されています。

 ところが、予言から90年近く経った現在に至っても重力波の検出は直接には実証されていません。

 1960年代、アメリカメリーランド大学のウェーバー博士がアルミニウムの巨大な円筒を1000km 離れた2ヶ所に設置してそれが同時に微小伸縮したのを観測し、重力波を検出したと発表したことがあります。
 しかし現在では検出したとは何かの誤りであったと考えられています。 
当時の装置と技術水準では到底重力波検出に必要な観測精度を達成することは不可能でした。
 それは重力が電磁気力と比べると途方も無く小さく、実にその差は1040もの差があるためです。

 1987年にマゼラン星雲で爆発した超新星1987Aからのニュートリノを岐阜県、神岡鉱山のカミオカンデが検出した時、実はローマ郊外に設置されていた重力波検出装置が同時に飛来した重力波の検出に成功したと発表したのです。 しかしその観測データに基づいて計算された超新星の質量は理論的にありえない巨大な大きさになってしまうため、観測は誤りであったと考えられています。

  ただし、重力波の存在は間接的な手段では立証されています。
 1993年にMIT(マサチューセッツ工科大学)のハルスとテイラーがノーベル物理学賞を受賞しました。
受賞の理由は1974年に2万光年の彼方に発見された連星をなすパルサー、PSR1913+16 を15年間観測し、公転周期が年に76.15μ秒づつ短くなることを確認したことです。
 中性子星の連星系が重力波を放出するという理論と、その結果公転周期が短くなるという予想を0.1%の精度で検証した成果によるものです。

重力波が放出される事件

  一般相対性理論の予言では質量が運動すると重力波が放出されるとされていますが、例えあなたがバットを振り回しても、とても観測出来るような重力波は放出されません。
 何しろ電磁気力と比べるとその大きさは10−40と、途方もなく小さいのが重力なのです。
 実際に観測可能な重力波が放出されるためには巨大な質量を持つ物体の激しい運動が必要です。
巨大な物体といえばまず星が思い浮かべられますが、それもただの星では不十分で、太陽の数倍の大きさの星が超新星爆発を起こす(それも左右非対称という条件付)とか、ブラックホール同士の衝突、あるいは巨大な質量を持つ中性子星の連星が合体するといった、一つの銀河系内で100年に一度、あるいは100万年に一回と、稀にしか起こらないような大事件が必要です。
 因みに前述のパルサーPSR 1913+16は1億8000万年後に合体すると計算されています。
 巨大な星同士の衝突のような衝撃によって放出される重力波によって、たとえば2000万年光年の彼方から地球に到着した時には空間が少しばかり歪むだろうと考えられています。
 それを観測することで重力波の検出が立証されるというわけです。
 しかしながら、その空間の歪みたるや地球と太陽との距離(1億5000万km:1012m)が水素原子1個(10-9m)伸縮する程の規模と考えられています。
 即ち重力波の検出には10ー21〜22(1億分の1の1億分の1、さらに10万〜100万分の1)という途方もない測定精度が必要となるのです。
 何時来るか分からない重力波を100万年も待つことは出来ませんが、検出の感度を上げて、範囲を銀河系から更に遠くの銀河系まで広げればより多くの機会を捕らえることが出来ます。
 例えば感度を10倍に上げれば1000倍の範囲を,更に100倍挙げれば範囲は100万倍に広がり、100万年に一度の機会でも1年に1度は検出する機会があることになります。


理論的な可能性の検証


 重力波を検出の試みが現実的に話題になり始めたのは1980年ごろのことでした。
しかしながら技術的な可能性を云々する前に,まず理論的に可能か否かが話題となりました。
 
その前提となったのが1927年にハイゼンベルグが確立した不確定性原理でした。
それによると、”位置の測定誤差をゼロにしようとすると、運動量の乱れが最大となる。
 だから誤差ゼロの測定は出来ない”というものです。
話は飛びますが、情報の安全性が大問題となっている現在、究極の暗号として量子暗号の研究が急務となっています。即ち量子暗号は解読しようとすると、その内容が変わってしまうので解読は不可能、という不確定性原理が根拠となっているからです。
 重力波の検出は量子次元での極小の空間と距離の測定を意味します。
重力波振動の観測の限界は不確定性原理による ”標準量子限界” で決まるというのが定説で、それを巡り観測肯定派と否定派との間で激論が交わされました。 
 果てしなく続く議論の果てに1986年の国際シンポジウムにて観測の可能性への道を示したのは日本人の数学者、小澤正直の理論でした。
 彼は、絶対と考えられていたハイゼンベルグの不確定性原理の式はあらゆる観測について成立するわけではない ;
 ” 一つは : 観測される側の物体がもともと備えている量子ゆらぎ
  もう一つは : 観測によって物体の状態に生じる乱れ、と、二つの条件の間に相関がない場合という暗黙の前提が入っている場合にハイゼンベルグの式が成り立つ”ことを示しました。

 したがって、これらが相関するような特殊な測定は可能という見解が示され、1990年代以降世界各国で続々と重力波検出プロジェクトが進められ、21世紀に入ってようやく検出装置が建設され、観測が始まったようなわけです。


重力波検出の方法
(How to detect the gravitational wave ? )

マイケルソン光干渉計型の
重力波検出装置概念図

Michaelson Interferometer type
detector
極低温の真空容器中に置かれたニオブ塊の
共振による共鳴型重力波検出装置の図
Cryogenic Resonant type
Gravitational Wave Detector in Vacume Chamber
"NIOBE" Australia
上 マイケルソン光干渉レーザーが走る
  真空の走路 VIRGO
UP: Vacume tunnel of Michaelson type Interferometrer of VIRGO
下 日本のTAMA−300

Down : Japanese "TAMA-300"

  重力波の検出には現在二種類の装置が設置されています。
 一つは図のようにイギリスの物理学者、マイケルソンとモーリーが1892年に光の速度を測定するために考案した光干渉計を応用するもので、世界各地での重力波検出装置の主流となっています。
 この装置ではレーザー光を90度交差させて長距離 (100往復:8000km) を走らせた後に戻って来た光を合成させて出来る干渉縞の変化を観測します。
 もし重力波が到来すれば90度交差した空間の一方は伸び、他方は縮むと考えられます。
伸びた空間を走った光と、縮んだ空間を走った光とでは到着時間がずれるため、二つの光の波を合成して出来る干渉縞に変化が生じます。
 弦楽器の調律で音程が微妙に異なる二つの弦を同時に鳴らすと唸りが生じますが,一方の弦の張りを変えると唸りが変化するのと同じ原理です。 
 原理は簡単ですが実際の装置は現在の最先端の科学、素材、工学技術の粋を結集した極め付きの精密なものです ;
 まず装置全体が超高真空の中に置かれます。光が走るパイプは最大の装置で直径が120cm、長さが4kmになります。また光を反射する鏡はサファイアやシリコンで作られ、表面は凹凸が原子の大きさほどの滑らかさに磨かれ、熱雑音と熱膨張の影響を極限まで減らすために絶対温度で20K以下の極低温に保たれます。 
 さらに外部の振動を遮断するために精密な防振措置が施されます。

 もう一つの検出方法は前述のウェーバー型を発展させた巨大な金属塊を使った共鳴型の検出装置です。
到来する重力波により巨大な金属の塊が共鳴振動を起こすと考えられ,その振動を聞こうという、言わば精密で巨大な音叉による検出装置です。
 この装置も外部からの振動を遮断するために厳重な防振対策を施した真空の容器の中に、熱雑音等を減らすために極低温に冷やされた金属の塊を吊ってあります。
 実は重力波の振動周波数は数Hz〜数kHzの人間の可聴周波数であろうと想定されています。
即ち,宇宙の遥か彼方で巨大な天体が衝突したり崩壊する時の音が重力波として伝わり,それを聞くことが出来るということです。 
 これらの検出装置は一基だけの観測では万一重力波と思われる信号を検出しても確認が困難です。
別々の大陸プレート上にある検出器と同期して運転し、複数のデータを検証する必要があります。
 そのために1990年代後半から2000年代初頭にかけて, 日本, アメリカ, オーストラリア、フランス‐イタリア、ドイツ‐イギリス, と世界各地に続々と重力波天文台が完成して動き始めました。
世界の重力波検出プロジェクト ( World's Gravitational Wave Detection Projects)

 

世界各地のプロジェクト(World's locatrions)
O:光干渉計(Interferometer type))
O:共鳴型検出器(Resonant type)
アメリカ ルイジアナ州の4kmのLIGO
4km arm length LIGO Louisiana, USA
イタリア ピサ近郊のVIRGO
VIRGO Cassina, Pisa, Italia

 

Interferometer "AIGO", Australia 2011年打ち上げ計画のLISA衛星による重力波観測天文台
LISA Satelite to be launched in 2011
NASA(アメリカ航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機構)との共同プロジェクト

Co-Project of NASA and ESA

 

日本(Japanese Projects)

1991   LISM    日本では1991年に20mの長さの光干渉計LISMによる観測が始まりました。
もちろん 20mでは太陽系の近くで超新星爆発でも起こらない限り,重力波の検出は出来ませんが,本格的な装置に向けての基礎実験が重ねられました。
Japan started the project in 1991 with 20m experimental interferometer with 20m arm length, "LISM"

1999   TAMA−300    感度10−19で、10万光年彼方のマゼラン星雲からの重力波検出が可能な光干渉計、TAMA−300が三鷹の国立天文台敷地に1999年に完成しました。
 TAMAという名前は、重力波を ”たまたま” 検出することが出来るかもしれないという発想による命名です。
 感度を当初より3000倍も改良し、連続運転も1000時間を超える安定度を確立し、既にあるLISMや、2003年からはアメリカのLIGOとの同時観測運転を行うなど、着々と実績を重ねています。
 In 1999, TAMA-300 Interferrometer with 300m arm length and 10-19sensitivity was completed, which has the gravitatioanl wave detection capability from Mazeran galaxy(100,000 light year far).
 Within one yearthe sensitivity was improved by 3000times and continuous operation time of 1000 hours is established.

2002   CLIO−100    2002年にニュートリノ検出装置カミオカンデで名高い岐阜県神岡鉱山の地下1000mに極低温に冷却したサファイアの鏡を使う100mの長さの光干渉計が完成。さらに将来の大型化に向けて実験開始。
 In 2002, at Kamioka Mine, where Nutrino detector, "Super-Kamiokande" was installed, the cryogene interferometer with 100m sapphire mirror was completed.


2006?    LCGT    CLIO−100を更に発展させた 3km と 2km の長さのアームを持つ大型低温重力波検出望遠鏡で、最終的なLCGT4は感度10−24と、計画中のアメリカのLIGO−2と並ぶ超高精度の装置となる予定。
6.2億光年までをカバーし、ほぼ一月に一度到来すると想定される重力波検出を目指している。
(LCGT : Large scale Cryogenic Gravitational Wave detection Telescope with 3km and 2km armlength with 10-24 sensitivity observatory will be completed by 2006.

 アメリカ(U.S.A.)

1994   LIGO40     ライゴ:重力波観測レーザー干渉計天文台 (Laser Interferrometer Gravittional-Wave Observatory) 
 40mアーム長の実験機稼動 カリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学との共同プロジェクト
LIGO with 40m Arm length exdperimental was completed (Co-Project of CALTEC and MIT)

2000   LIGO    アメリカ,ワシントン州 Hanford に 2km のアーム長の光干渉形、WA2Kが完成
2Km Arm Length Interferrometer, WA2K was completed at Hanford, Washington.
2001   LIGO    WA2Kとドイツ、ハノーヴァーの GEO600、重力波観測装置との同時観測実験開始]
LIGO, WA2K started the synchronized observation with German GEO600
2002   LIGO    Hanfordとルイジアナ州, Livingston に 4km のアーム長のWA4Kが完成。 周波数帯域40〜3KHzの観測が可能。
最高感度 : 180Hzで3/1023
4Km Arm length LIGO, W4K were completed at Hanford and Livingstone, Louisina. Max sensitivity 3/1023
at 180Hz, Observation frequency responce covers 40-3KHz
2005   Advanced 
LIGO
  
 2005年に着工、2009年に観測開始の予定で感度を10倍に上げ、11.4億光年まで検出能力が拡大し,ほぼ1日に1回到来すると想定される重力波の発生が検出可能
 Advancded LIGO with 10 times higher sensitivity to cover 1.14 Billion year distance, which enables to detect the gravitational wave, arriving once a day. Construction begins in 2005 for the operation in 2009.

2011   LISA  
NASA (米航空宇宙局) が ESA (欧州宇宙機構)と共同で打ち上げる予定の人工衛星で2004年から開発が開始予定。 正式には ”The Laser Interferrometer Space Antenna” と呼ばれる。 5000万km彼方の宇宙空間にアーム長 500万km の3角点の位置に計3基の人工衛星を打ち上げ、相互の間隔を 1µm の精度で維持し、重力波観測を行う。ミリHzの低い周波数帯域での観測が可能となり、遠方の銀河系の中心部にある巨大ブラックホールの観測も可能となる
 Co-Project of NASA and ESA, LISA Space Antenna development starts in 2004. 3 sattelite is located at 50Million km far from the earth on a 5Million km triangle orbit. Low frequency of mm level frequency enables the observation of the Gigantic Black Hole core in the far Galaxy center.

オーストラリア(Australia)

1993〜1998   NIOBE    西オーストラリア大学にて10−19の感度を持ち、10Hz〜1KHzの周波数帯域で観測が可能な共鳴型検出器が稼動
 The resonant tyep detector "NIOBE" with 10-19 sensitivity and freqency response of 10-1kHz started the observation at Western Australia University.
2000   AIGO  
 パースの北 85km にアーム長3kmのレーザー干渉計が完成。周波数帯域は10Hz〜1kHz。
 AIGO (Australian International Gravitational Observatory) は西オーストラリア大学、オーストラリア国立大学、アデレード大学、モナシュ大学などによる共同プロジェクト。
Co-Project of Australian JUniversities, "AIGO" with 3km of arm length and frequency response 10-1kHz was completed 85km north of Perth.

イギリス‐ドイツ連合 (UK-Germany Co-Projects)

1995〜2001   GEO600    英グラスゴー大学重力物理研究所、独マックス・プランク研究所、ハノーヴァー大学原子分子、研究所との共同プロジェクトによるアーム長600mのレーザー干渉重力波検出装置。 ハノーヴァー郊外の Hildesheim に 2001年に完成。
 早速アメリカの LIGO との共同観測が行われている。最高感度 : 600Hz で 8/1023
Co-Project of UK(Glasgaw University) and Germany (Max-Planck Research Laboratory and Honnover University), GEO600 Interferrometer having 600m arm length and Max sensitivity 8/1023 at 600Hz was completed in 2001 at Hildesheim, Hannover and synchronized observation with US LIGO started.

         
フランス‐イタリア連合 (Co-Project of France : CERN and Italy : INFN )
1997   VIRGO    フランスの CERN (国立中央科学研究所) とイタリアの INFN (国立原子核物理研究所) との共同プロジェクトで、EGO (欧州重力天文台) の中核を成すレーザー干渉重力波検出装置、VIRGOの開発と建設開始
 VIRGOとは乙女座のことですが、即ち5000万光年彼方からの重力波検出能力を目指すプロジェクトです。
乙女座銀河団からの重力波が検出可能な直径120cm,長さ3kmの真空アームをもつ大型装置。
"VIRGO" Interferometer construction started.

2003       イタリア,ピサの郊外15kmのアルノー平原にVIRGO完工。周波数帯域は100〜3000Hz。最高感度:500Hz 4/1023
VIRGO is completed at Cassina, Pisa, Italy. Frequency response is 100-3000Hz with Max sinsitivity 4/1023 at 500Hz. VIRGO is capable to detect the gravitational wave, arriving from 50Million year far Virgo galaxies.

 以上、世界各地で続々と重力波検出のための大型装置が建設され本格的な運転が始まっています。
それぞれのプロジェクトの詳細や実際の稼動状況、データ等のレポートが日々刻々とインターネットで公開されています。
最先端技術のプロジェクトの全貌とその進捗状況を誰でも何時でも好きな時に知ることが出来るというのも凄いことです。

 

重力波検出プロジェクトの現実と将来への展望
  10−20を越える極限の感度を目指す最先端装置の稼動が世界各国で始まったものの、当初から設計通りに運転が出来るわけではありません。
 装置自身の調整、外部からの振動や雑音、更に将来の大型プロジェクトへ進むための,予算の獲得等々、難問山積というのが実情です ;
1.外部からの雑音と振動との戦い 

 重力波検出のような超高精度の観測では、他では何でもないような地球の振動や雑音が致命的な問題となります。
 例えば,月の潮汐力は海水と共に地殻にも影響を及ぼし,観測所の建物が 1/3mm 程動きますが、これは重力波による変化の100兆倍になります。
 地球上の何処かでマグニチュード6の地震が起こったり、上空をジェット機が飛んだり、遠くの高速道路の車の往来、隣の研究所で誰かがコンピューターの電源を入れてファンが回り出したり、台風による大波の振動・・・・・・と、ありとあらゆる雑音と振動が入って来ます。
 重力波検出装置とは超高性能の聴診器そのもので、重力波以外は何でも聞こえると揶揄されるほどです。
 実際の観測時間の大半は,こうした雑音の分析と対策といったデータの積み上げに費やされます。
これらの要因を全て整理して、万一重力波が到来した時に雑音の大海の中から重力波の振動だけを掬い取る必要があります。 

  2.検出装置の基本的な設計,安定性、材質、等々の問題 

 外部の振動や雑音だけではなく、装置自体が完成した後でもありとあらゆる面から設計,素材、加工精度、理論等々,全てを見直し,調整する必要があります。
 例えば、高出力レーザーの安定性、鏡の
材質、防振対策、研磨の精度、等全てが予定通りに動くわけではなく、細心の調整や修正を施さなければ設計通りの感度を達成できません。
 日本のTAMA300の例では1年以上かけて感度を3000倍も改善し10倍以上のアーム長を持つLIGOに匹敵する高感度を達成しています。
 こうした各国の努力は日々、インターネットで公開され、相互に改善の参考となっています。
更に、世界各国の関係者が一堂に集まって、それぞれの問題や成果を報告するコンベンションが定期的に開催されています。
 前述のように重力波検出の検証には複数の装置による確認が必要となるため、まさに世界各国の専門家達が協力し、一団となって取り組んでいます。
 それは各国の検出装置がいずれも安定して最高の性能を発揮し、何時来るか分からない重力波が来た時に確実に検出するためには、究極の精度を保って長時間(出来れば常時)安定した運転が必須の条件だからです。3.将来のプロジェクト
 現在世界各国にようやく完成した検出装置は、各々1000万〜1億ドルの予算をかけた大プロジェクトですが、しかしそれでも確実に重力波を検出できるか否かは分かりません。なにしろ、一つの銀河系で超新星爆発は100年に一度も起こりません。
 中性子星の連星が合体する可能性も 100万年に一度と、極めて稀にしか起きない出来事です。。
 したがって現在の装置の感度を更に上げて, より遠く, 広い宇宙空間にまで検出範囲が及ぶように感度を上げれば、より多くの重力波発生を検出することが可能となります。 
 例えば感度が10倍改善されれば100倍の空間を、100倍改善されれば100万倍の空間にまで検出範囲を拡大することが可能となリます。 即ち、検出頻度が年に1回、更には1日に1回と格段に機会が増えます。
 それが例えば日本のLCGTで、あのスーパーカミオカンデがある神岡鉱山の地下1000mにアーム長3kmのレーザー干渉計を設置する計画です。
 地下1000mに設置するだけで,地上の雑音が二桁減少し,即ち感度が100倍上がることになります。

LISA計画

 NASA と ESA との LISA 計画では 5000万km 彼方の宇宙空間にアーム長 500万km 相当の3基の人工衛星を打ち上げて観測します。
 宇宙空間では地上の雑音は皆無ですから、それだけでも有利になります。
しかしながら今度は何もない宇宙空間でそれぞれ 500万km 離れた衛星同士を µm 単位で配置して正確に60度の正三角形の頂点の位置に維持すると言うのは、途方もなく難しい技術です。
 さらにそれぞれ 500万km も離れた衛星間を交互に往復させる安定した強力なレーザーを発振させる技術も想像するだけでも大変なことです。
 干渉縞を測定するわけですから当然パルス発振ではなく何年間も安定した連続発振での観測が必要となりますが、これこそまさにミッション・インポシブル(不可能への挑戦)ですが、一体どんな技術で実現するのかわくわくさせられます。
 ところで、将来の更なる大プロジェクトではこれまでとは桁違いの予算がかかります。
アメリカの LIGO の場合、議会の承認どころか,予算を削られると他分野の科学者からの大反対により、予算獲得までに10年もかかった有様です。
 したがって5億ドルもかかる予定のLISAの予算獲得は重力波検出より困難と、難航が予想されています。

** LISA計画は無期延期 (LISA Project is postponed for indefinitely)

 アメリカのブッシュ大統領が2004年に打ち出した2020年までの新たなる月への有人飛行計画とハリケーン・カトリーナの復興予算、イラク戦争への出費等のしわ寄せでNASA の2007〜2011年の予算が20%、合計64億ドル削減されました。
 このためNASAの8つのプロジェクトが中止、6つが1〜3年の延期、LISA 計画を含む5つのプロジェクトが無期延期となりました。
 重力波検出が何の役に立つか ? 

 
カミオカンデを指揮し、超新星1987Aからのニュートリノ検出によりノーベル物理学賞を受賞した小柴博士がいみじくも言われたことと全く同じことですが、たとえ重力波を検出し,アインシュタインの一般相対性理論による予言が立証されたところで、直ちに世の中の役に立つようなご利益など考えられません。
 1940年代までは可視光だけでしか観測できなかった天体や宇宙が、その後電波,赤外線,紫外線,ガンマー線、X線と、電磁波の全ての周波数帯域での観測により、この半世紀余りで,宇宙についての認識は飛躍的な進歩を遂げました。
 さらにニュートリノでの観測により,天文学は新たな発展を遂げましたが、重力波による観測は、古来から星を眺めて来た人類にとって,究極の宇宙観測の手段を手に入れることになるのは確実です。
 ビッグ・バンの極めて早い段階での宇宙の様子や,ブラックホールの運動を観測することが可能と期待されています。
 重力波検出プロジェクトがもたらすその気の遠くなるような超高精度の素材、技術,工学等々、現在の科学技術水準を大きく引き上げる膨大な成果が他の分野にも応用されことは間違いありません。   
 人類がかつて経験しなかったような空前の技術への挑戦は、また新たな科学技術の飛躍的な発展につながることと大いに期待できます。
 そして,この挑戦が、何よりも戦争や個々の国や団体との如何なる利害とも無関係に、平和で親密な協力を前提に進められているところに意義があると確信しています。

終わりに :  サーチエンジンの仕組みの不思議 

 今回は鉱物コレクターに始まって,鉱物とは関係の無い話題に発展してしまいましたが、しかし、元を正せば、やはり鉱物がきっかけとなって展開した次第です。
 そもそも重力波検出プロジェクトについて、現実の進行状況は殆ど一般の話題にはなっていません。
私も最近まで無知の一般大衆の一人にすぎませんでした。
 3ヶ月ほど前のことですが、アメリカから1通のメールを受け取りました。
それは私のホームページを見られた方が,ジャゾット氏と知り合いだったと言うことがきっかけでした。
 たまたまサーチ・エンジンで Giazotto を探したところ、私のホームページのアクアマリンのページが出て来たということでした。
 確かに、GIAとフランス、サント・マリー・オ・ミーヌの鉱物フェアで得た情報から、ジャゾット・コレクションを知り,インド産の巨大なアクアマリン結晶を紹介しました。
 その写真に添付したたった一行の Giazotto Collection の情報が検索システムに引っかかったというわけです。
 実は私にメールを下さったのはアメリカ・パサデナ在住の方です。
ご主人がカリフォルニア工科大学にて LIGO プロジェクトに参加されていて, その縁でジャゾット氏とはエルバ島での国際重力波検出会議で会われ、氏の鉱物コレクションも実物をご覧になったとのことです。
 その後私のホームページを見たジャゾットしから Jeff Scovil 氏が撮影された写真の転用を了承いただいた縁で、氏が VIRGO プロジェクトを率いる代表者であることが分かったような次第です。
 驚かされるのは、こうした縁をもたらしたインターネットのサーチ・エンジンの仕組みです。
グーグルの検索は現時点で世界の80億ページのホームページをカバーします。
 仮に1ページの情報量が10KBとしても全部で1013程の情報量があるわけですが、あらゆるプロバイダーのサーバーを全て訪ねて、その中からたった9文字の情報を探し出し、整理して並べるのに1秒もかからないというのは,一体どのような仕組みになっているのかと、何時も不思議に思います。
 試みに Giazotto で検索すると世界中の18000件もの Giazotto 関連情報が0.15秒で出てきます。あるいは  VIRGO を検索すると280万件もの情報がやはり0.5秒で出てきます。
 重力波検出の精度は1022〜23と、単純に前述の1013と比べれば10桁、100億倍と、まるで次元が異なりますが,それにしても最先端技術ではなく,日ごろ誰もが使っているインターネットの検索システムとは凄まじいまでの速さと能力とを持っていることには違いありません。

 

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