アフガン石(Afghanite)
0.02ct(Ø1.9mm) - 1.70ct(9.8x7.6mm) | 0.035 - 0.08ct | 7x5.5x5cm | 3.4x3.1x3.6cm | ||||||
Sar-e-Sang, Badkhshan, Afghanistan |
化学組成 (Formula) | 結晶系 (Crystal System) |
モース硬度 (Hardness) |
屈折率 (Refraftive Index) |
比重 (Density) |
(Na,Ca,K)8(Si,Al)12O24(SO4,Cl,CO3)3・H2O | 六方晶系 (Hexagonal) | 5½ - 6 | 1.523-529 | 2.55-65 |
名前のとおり、アフガニスタンのラピスラズリ産地で発見され、地名に因んで1968年に登録、命名された鉱物です。
ナトリウム、カルシウム、カリウム、ケイ素とアルミニウムの、微量の水分を含む硫酸塩、炭酸塩、塩化物という、恐ろしく複雑な構造の鉱物です。
炭酸基と水分は1%未満と少なく、資料によってはこれらを化学組成に入れてないものがあります。
現在のところ、結晶構造図がないので、これらが結晶を構成する成分の一部として組み込まれているのか、あるいは天然の緑柱石やオパールの水分のように、外部から結晶内の空隙に入り込んだ不純物なのか不明です。
アフガニスタン特産の鉱物かと思いましたが、念のため調べてみると、原産地のサーレ・サン周辺の6か所の他に、カナダのバフィン島、ドイツのアイフェル山地、イタリアのヴェスヴィオ火山のモンテ・ソマ、ローマ近郊の10か所余りのカルデラ地帯、パミール山脈、シベリアのバイカル湖近辺に2か所、ニューヨーク、セント・ローレンス郡・Balmatの亜鉛鉱床帯にある鉱山と、世界の火山や、地殻変動により変成作用を受けた地帯に発見されます。
成分からして、アルカリ火成岩の溶岩に含まれる炭酸塩、硫酸塩、塩素や水分がナトリウム、カルシウム、カリウムと反応して出来た鉱物と分かります。
目の覚めるような青い色は、ラピスラズリや、藍方石(アウイン)と同じく、不純物として含まれる硫黄による光の吸収です。
したがって硫黄を含まない結晶は無色です。
アフガン石は一般の鉱物図鑑にはまず掲載されていません。
恐らく以前は同じ産地で採れる、色合いのよく似ているラピスラズリや藍方石と区別がつかなかったためでしょう、鉱物標本が市場に姿を見せるようになったのもこの10年程です。
冒頭の淡青色の結晶クラスターは、10年余り昔にサファイアの結晶と勘違いして入手した後にラベルと領収書を見て初めてこの名前を知ったような次第です。
が、アフガン石がどんな鉱物か、当時は見当もつきませんでした。
0.07ct 3.9x2.6mm |
0.02ct Ø1.9mm |
0.03ct Ø2.15mm |
1.70ct 9.8x7.6mm | 0.12ct 3.6x2.8mm | 0.27ct 4.9x3.6mm | 0.13ct Ø3.2mm |
0.08ct 3.2x1.6mm | 0.065ct 2.7x2.6mm | 0.07ct 2.6x2.1mm | 0.056ct 3.4x2.0mm | 0.035ct 1.9x1.8mm | 0.035ct 2.3x1.9mm |
アフガナイトのルースが市場に現れたのは、ごく最近のことです。
宝石質の結晶は極めて少ないため、透明なルースは最大でも0.5カラット程度の大きさ、大半は0.1カラットと小さく、無色に近い淡い色合いです。
1カラットを超える大きなルースはラピスラズリのような深く魅力的な濃青色ですが不透明です。
0.12ctの濃い色合いのルースは、アウインかと思いましたが、屈折率が1.526と、アウインの1.498-507よりは高い値を示すため、アフガン石であると確認できました。
新たに入手したの6個のルースは、0.1カラット未満と小さいながら、透明度が高く、アウインかと思われるほどの、鮮明な色合いのルースです。