曹長石(Albite)
満礬柘榴石と黒水晶を伴う 曹長石 48x40x20mm 雲林 Zhangzhou 福建省 |
曹長石のペリクリン双晶 4x6cm Rauris Salzburg Austria |
Cleavelandite 7.4x5cm Taquaral Minas Gerais Brazil photo courtesy:Trinity Minerals |
Cleavelandite 38x36mm Pakistan |
曹長石の結晶 | 曹長石の双晶 | ペリクリン双晶 |
斜長石族の鉱物は正長石と同様にカルルスバット、バヴェノ、マネバッハ式の双晶で現れることが多いのですが、曹長石にはアルバイト双晶と呼ばれる底面と双晶面とが 94°に交わり繰り返し連晶を示すものが多く見られます。 さらに b 軸を双晶面とするペリクリン双晶と呼ばれる双晶もあります。
ペリクリン双晶は微斜長石でも現れますが、何故か鉱物標本として,あたかも独立した鉱物の名称のようにペリクリンと表示してある例もあり、また曹長石の変種としている資料もあリます。
曹長石の平板状結晶の群晶は19世紀アメリカ・メイン州のBowdoin Collegeで地質学と鉱物学の教授であった Parker Cleaveland に因み、クリーヴランド石(Cleavelandite)と呼ばれます。
アメリカ,ヴァージニア州都、リッチモンドの南西35kmにある町、Amelia Court Houseのペグマタイト鉱床は宝石質のスペッサータインで有名ですが、直径15cmもあるクリーヴランド石を産しました。
結晶系 | 化学組成 | モース硬度 | 比重 | 屈折率 |
三斜晶系 | NaAlSi3O8 | 6 | 2.62−63 | 1.526−541 |
アルカリ長石と斜長石との中間に位置する曹長石はほぼ純粋なナトリウム長石で純白の結晶あるいは多くの鉱物の主要な成分として不規則な粒状で含まれています。
結晶は多くの場合純白ですが不透明です。
クリーヴランド石の平板状の結晶の一部分が透明なものがありますが、透明な部分はほんの僅かでファセット・カットしてもせいぜい1カラットほどの大きさのルースが得られる程度でしょう。
したがって曹長石はたとえコレクター向けにさえもカットされることはまずありません。
曹長石成分に5%程度のカリ長石成分を含む曹微斜長石にはそれぞれの成分が薄層状となって光の干渉によりムーン・ストーン効果を示すものがあります。
一部灰長石成分を含む灰曹長石には主に赤鉄鉱等の鉱物結晶の薄片を含んでサンストーンとなるものがあります。主要な造岩鉱物でふんだんに存在する曹長石ですが、鉱物標本としても余り見かける機会がありません。
しかしたいていの鉱物コレクターの手元には多かれ少なかれ、曹長石があるはずです。
もちろんコレクターの多くが曹長石を目当てに集めたというわけではありません。
たまたま手に入れた美しい宝石結晶にはしばしば曹長石の結晶がおまけについていることが多いためです。
写真のアクアマリンやガーネット、トルマリン結晶は、いずれも博物館や大富豪のコレクションとなっている目もくらむような結晶です。
主役のアクアマリンやトルマリン等の宝石質の結晶はそれは見事な美しさです。
が、曹長石の純白の衣装を纏うことによって宝石結晶は一段とその美しさが際立って見えます。こうした博物館級の結晶でなくとも、普通に入手できるペグマタイト産の結晶標本には曹長石結晶がついていることが良くあります。
地味で目立たない曹長石ですが,雪のような純白の結晶や,氷のような結晶のクリーヴランド石の爽やかで涼しげな様子はなかなか捨てたものではありません。
アクアマリン結晶 7.5cm を飾るクリーヴランド石 Afghanistan |
スペッサータイン、ショールと曹長石 Ramona Sandiego U.S.A. |
ルベライトとクリーヴランダイト 高さ 40cm Jonas鉱山 Minas Gerais,Brazil Keith Procter Collection |
エルバイト、水晶と曹長石 6cm Grotta d’Oggi Elba島、Italia |