クリソコーラ・珪孔雀石(Chrysocolla)


 


       
クリソコーラ(珪孔雀石) 42x32-32mm
Morenci Mine, Arizona, U.S.A
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珪孔雀石が含浸した玉髄  48x34x33mm
Ray Mine, Arizona, U.S.A.
珪孔雀石と孔雀石が含浸した玉髄 56x51x45mm
Inca de Oro Mine, Atacama、Chile 


   化学組成 結晶系   モース硬度   比重   屈折率 
 珪孔雀石(Chrysocolla)  CuSiO3+nH2O 単斜晶系
 (Monoclinic) 
 2 - 4  2.0-2  1.575-635


名前と産状( Name and Occurence )

 ギリシア語の ” khrusos : 金 と kolla : 糊 ” に由来する名前です。
 この名は、この鉱物が金粒細工の蝋付け加工時に使われたことに由来します ; 
微細な金の粒を接着する時に熱伝導率の高い金の粒同士が接触すると接着済みの他の粒に熱が伝わり溶けてしまうので、不純物を添加して熱伝導率を変えることで蝋付け作業を可能にする技術です。 
 実際には、他に孔雀石、硼砂【 Borax : Na
2B4O5(OH)4 】 等、様々な鉱物が蝋付け用の添加物として使われます。
一般に金属加工時の添加材がボラックスとも呼ばれます。
 
 珪孔雀石は世界の銅鉱山に、似たような成因で出来る孔雀石や藍銅鉱と共に普通に発見されます。
産状は、銅鉱石が珪酸分に富む地下水と反応して団塊状、微細な針状結晶が集合した葡萄状、鍾乳石状で発見されます。


古代の粒金細工

       
 ペンダント 4.2㎝ 
BC6 - 5 Syria
 耳飾り 4.4㎝ 
BC650 - 625 Argos Greek
腕輪  直径9.3-10cm 
BC675-650 Cerveteri Etruria、Italia


 スキュタイ、オリエント、ギリシア、エトルリア、エジプト等、古代文明の遺跡から無数の金細工が発掘され、各地の博物館に収められています。 これら金細工に共通して見られるのが微細な金粒を蝋付けしたグラニュレーションと呼ばれる技術でした。
 近年に至るまで、これほどの微細な金粒子の蝋付けをどのようにして行っていたのか、大きな謎とされてきました。
 前述のように、蝋付けする金の粒子の純度を変えて加工したものと、近年明らかになりましたが、しかし、これほどの作品を現在作ることは不可能と言われます。

宝飾品に使われるクリソコーラ

       
 無処理と処理後のクリソコーラ ファセット・カットされた半透明の
クリソコーラ
 9.46ct  9.32ct  0.82ct
     Mexico




   クリソコーラそのものが宝飾品に使われることはまずありません。
一般にクリソコーラとして使われるのは、多孔質の石英である玉髄にクリソコーラが浸透して、美しい色合いとなったもので、時にジェムシリカとも呼ばれるものです。
 玉髄そのものは至る所で発見されますが、美しいジェムシリカは滅多にありませんから、玉髄としては例外的に高価な値段で取引されます。
  上の写真2番目のペンダントは表面を微細な水晶の結晶に覆われてきらきらと輝く玉髄をそのまま使ったものです。
 右の二つのメキシコ産のクリソコーラは1990年代初頭にメキシコ中央部の銅鉱山からかなりの量が採掘され市場に登場したクリソコーラ、
実際にはクリソコーラ含浸の玉髄です。 中にはファセット・カットされるまでに透明度が高いものもあったようです。
 メキシコ産のクリソコーラは色と耐久性の改善のために、アクリル樹脂含浸処理がされているとのことです。



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