頑火輝石(Enstatite)
地味ながら多彩な色合いの頑火輝石 0.98 -
2.8ct (Faceted enstatite in varieties of colors) Srilanka |
15x8mm 2.8ct | 7x5mm 0.98ct |
2.2ct 10.5x7.1mm | 2.4ct 10.8x9.3mm | 1.77ct 8.6x6.7mm | Cats'Eyes : 8mm 2.2ct | 2.3ct | 2.6ct |
Srilanka |
3.15ct 11.4x6.8mm | 9.6ct 14.4x11.7x8.6mm | 27x17x17mm | 結晶 39mm |
Morogoro, Tanzania | Mpwa, Tanzania | Bamle, Norway |
化学組成 (Formular) |
結晶系 (Crystal system) |
結晶形 (Crystal form) |
モース硬度 (Hardness) |
比重 (Density) |
屈折率 (Refractive Index) |
Mg2Si2O6 | 直方晶系 (Orthrhombic) |
5½ | 3.21-60 | 1.65-68 |
エンスタタイトの名はギリシア語の”エンスタテス : Enstates=反対する者” に由来します。
融点が水晶と同じ1570℃と高いため、高温の炎を吹きつける吹管分析でも溶けない事から命名されました。
日本名はそのものずばりの翻訳です。
吹管分析とは、かつて行われた鉱物や化学物質の簡易成分分析法
硝子や黄銅製のL字型の管を使う。
資料の粉末と無水炭酸ナトリウムとの混合物を木炭表面に埋めこむ。
吹管の一方から息で空気を吹き込んでアルコールランプの炎を吹きつけ、
出来た金属球や酸化物の皮膜の色や形により、資料の化学成分を分析する。
炎の外周で酸化作用が、炎の内周では還元作用が起こる。エンスタタイトは火成岩、ペグマタイトに産出しますが、隕石からも発見される基本的な造岩鉱物の一つです。
地球の上部マントルの深さ300〜600km、圧力が15万気圧の付近では高圧のため単斜晶系に結晶構造が変わった単斜エンスタタイト(MgSiO3)が主要な岩石成分として存在しています。
世界中で広範に分布する鉱物ではありますが宝石級の結晶は極めて稀。
宝石としてカットされるのはスリランカの川の砂利の層の中から水磨礫として発見されますが、結晶形は失われていてただの石ころにしか見えません。
したがって、新たに発見されたタンザニアの宝石質の結晶は本来の姿を見ることの出来る貴重な標本です。
珪酸マグネシウムという化学組成のため、基本的には無色透明な鉱物ですが、天然には主に鉄やチタン等の不純物を含み、灰色、帯黄緑色、橄欖色、淡緑、暗緑色、クロム緑色、黒、と多彩ではありますが殆どが地味な色合いですから、コレクターが興味を示すのみです。
したがって値段もカラット当たり1〜15ドルとただ同然。
スリランカからは稀に無色透明な結晶が発見されカットされますが、さほど屈折率が高くないため、ダイアモンドやジルコンのような煌きは期待できません。
しかしながら、タンザニアの結晶は明るく美しい色合いです。
これは漂砂鉱床ではなく、一次鉱脈から産出したものと思われますから,もし大量に産出するのであればカットされると魅力的なルースが出現するのではないかと楽しみです。