ユークレース(Euclase)
3.4cm | 3.2cm | 1.7cm | |
Near Brumado, Bahia, Brazil | |||
世界のユークレース 0.36-7.50ct | Watzl Minerals Specimen | Alex Schauss Collection |
0.53ct 6.5x4.05mm |
4.9ct 10.4mm |
7.5ct 14.1x11.9mm
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0.55ct 8.0x4.1mm |
Brazil |
0.36ct 5.0x3.4mm |
0.41ct 5.4x3.4x2.6mm | 0.59ct 6.1x5.0mm |
針状のルチル結晶入りユークレース 3.15ct 15.2x12.3mm |
Madagascar | Chibor Mine, Colombia | Miami, Zimbabwe | Russia |
化学組成 (Formula) |
結晶系 (Crystal System) |
結晶形 (Crystal Form) |
モース硬度 (Hardness) |
比重 (Density) |
屈折率 (Refractivbe Index) |
AlBeSiO4・OH | 単斜晶系 (Monoclinic) |
71/2 | 3.06-13 | 1.65-67 |
名前と産状 (Name and Occurence)
ユークレースの名は結晶が完全な劈開性を示すことに因み、18世紀フランスの鉱物学者、アウイ (J.Haüy) によって、ギリシア語の ”Eu :良く と Klasis : 壊れる” とを合成して命名されました。
化学組成が示すように、鉱物としては緑柱石に極めて近く、ペグマタイト鉱床生成の最終段階で熱水の温度が600〜400℃に下がり、緑柱石が水酸基を取り込んで出来た鉱物と考えられています。
ブラジル、ジンバブウェ、ザイール、インド等のペグマタイトやドイツやオーストリア・アルプスの熱水鉱床から発見されます。更にウラル山脈とコロンビアのエメラルド鉱山から、稀ですが極めて美しい結晶を産します。
3.4cm Anton Watzl Jr. Collection |
6.4cm Watzl & Pammer Collection |
4.5x2cm Herman Bank Collection |
3x1.6cm | 3.3cm Rudolf Watzl & Lisa Pammer Collection |
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Dom Bosco Mine, Ouro
Preto, Minas Gerais, Brazil |
Last Hope Mine, Kaloi, Zimbabwe |
Zillertal, Austria | |||
31x15x15mm | 28x14x13mm | 28x14x11mm | 18x13x9mm | 18x10x9mm | 18x8x8mm |
Ecuador Mine, Rio Grande do Norte, Brazil |
コロンビアのユークレース (Colombian euclase)
15cm 4.1cm 11cm 9.50ct Gachala Mine, Colombia Marina Mine Colombia Chibor Mine, Colombia Wayne A. Thompson Collection Scott Rudolf Collection
コロンビアのエメラルド鉱脈には副産物としてユークレースが採れると資料にはありますが、市場でも、また博物館等でもコロンビア産のユークレースに遭遇する機会は滅多にありません。
が、2005年頃から名高いガチャラ鉱山、チボール鉱山等からは散発的にではありますが、驚異的な大きさと美しさの宝石質のユークレースが発見され、鉱物雑誌等に息を呑むような結晶標本の写真が掲載されるようになりました。
上の写真にある結晶標本やチボール鉱山産のサファイアのような濃い青色の9.5カラットもあるルースはしかし、世界有数の鉱物標本を扱う業者やコレクターの間を転々とし、そのたびに値段が天文学的な水準に跳ね上がっています。
鉱物や宝石の雑誌やショーのポスターにしばしば素晴らしい写真が掲載されますから、稀なる絶品標本をタダで楽しむことが出来るというものです。
宝石質のユークレースの産地一般に見かけるの宝石質の結晶やルースの産地はブラジルのミナスジェライスのトパーズで名高いオウロ・プレートの Dom Bosco 鉱山と、リオグランデ・ド・ノルテ州の Ecuador 産とに限られています。
ドンボスコ鉱山のユークレースは19世紀には青,緑,黄色,藤色と色とりどりの結晶や、最大で750グラムにも達する大きな結晶とで知られていました。
4cmを超える大きな結晶や宝石質のは当時でも稀にしか発見されませんでした。
数少ない美しい結晶は宝石用に研磨が試みられましたが,名前の由来ともなった完全な劈開性のために少なからぬ結晶が研磨中に割れて失われてしまったとのことです。
一般にブラジル産のユークレースは無色か、結晶の一部が青や緑に着色されている例が大半です。
淡緑色の発色の原因は微量のクロムイオンによる吸収のためと考えられています。
1977年にジンバブエのミアミ・ペグマタイト鉱床地帯にてサファイアのような鮮やかな青い色の結晶が発見されました。
この青の発色はブラジル産の淡青色の結晶と同様にニ価と三価の鉄イオンによる電荷移動と考えられていますが、酸化鉄の含有量が0.12%とブラジル産の2倍以上高いために深く美しい青に発色しているのが特徴です。
ユークレースは鉱物としても、また宝石としても極めて稀産で、世界各地の鉱物・宝石フェアでも滅多に見かけることがありません。 したがって、万一出会ったなら大変な幸運ですから直ちに入手すべきでしょう。
冒頭のオレンジ色の結晶は2018年の6〜7月にブラジル、バイア州のマグネサイト鉱床で名高いブルマード鉱山の近くで発見されたものです。
結晶標本の見本のような美しい結晶形と、ユークレースとしては稀な、というよりこんな色は初めてお目にかかる色合いの空前絶後の標本です。
このコレクションはオーストリア在住の Watzl 一家が自らもヨーロッパ・アルプス各地にて採集した素晴らしい結晶コレクションの一部です。
とりわけ世界各地のユークレース・コレクションは見事です。