モロッコの蛍石
(Morocco Fluorites)
El Hammam Mine | 4.44ct Ø10.8x6.9mm |
CKL | |||
41x38x28mm 52g | 53x34x33mm 66g | Tounfit Mine |
モロッコには世界的な硫酸鉛 (Anglesite : PbSO4) を産するアルジェリア国境近くのTuoissit-Bou 鉱山、
アトラス山脈南麓にて赤紫色のコバルト方解石やコバルト華 (Erythrite : Co3(AsO4)2・8OH) 等の美晶で名高い Bou Azer、同じくヴァナジウム鉛鉱 (Vanaginite : Pb5(VO4)3Cl) の美晶を産する Mibladen 鉱山等の世界的な金属鉱山があります。
一般には、こうした金属鉱床には、脈石として蛍石を伴います。
ところが、前述の3鉱山のそれぞれ数十種に及ぶ鉱物リストには蛍石が含まれていません。
これにはいささか驚かされました。
Mindat. で調べると、モロッコには20余りの蛍石を産する鉱山がありますが、これらの鉱山産の蛍石結晶標本を見かける機会は極めて稀にしかありません。
その中で過去30年余で入手したのが冒頭の結晶と、目の覚めるような青いルースです。
結晶は モロッコで唯一蛍石のみを産する El Hammam 鉱山産です ;
この鉱山の地質は接触交代作用により、100℃~200℃の低温にて蛍石が生成し、初期の接触作用で緑の、後期の接触にて黄色の蛍石が生成したと考えられています。
4㎞に及ぶ長い鉱脈と斜めに交差するもう一つの鉱脈から蛍石が採掘されています。
最近入手した青いルースは、この鉱山産の蛍石には見られない色で産地不明でしたが、Mindat.に掲載の
500枚余りの写真から、Casa Blanca の東南 200km にある Tounfit 鉱山産の結晶をカットしたものではないかと考えています。
El Hammam Mine, Ait Mimouine Caïdat Khémsset Province |
モロッコ産の蛍石
53x34x33mm | 57x52x27mm | 11x7.6x2.5cm |
El Hammam Mine |
81x68x26mm | 62x46x27mm | 50x39x39mm |
Tounfit Mine, Caidat , Midelt Province, Drâa-Tafialet Region |
これらの蛍石結晶の写真は500枚余りの写真からとりわけ美しいものを選んだもので、中々市場で見かける機会はありません。