曙光石・あけぼの石・ヘスフォライト (Hösphorite/Oesphorite)

 

曙光石 (ヘスフォライト)
2.06ct              0.87ct


ヘスフォライト
 2.06ct 10x8mm
ヘスフォライト 
0.87ct 7.5x5.2mm
ヘスフォライト結晶   薔薇水晶上の群晶
26x15x8mm 36x25mm 5mm
Taquaral, Itinga, Minas Gerais, Brazil

 

結晶系
(crystal system)
単斜晶系 (monoclinic)
化学組成
(Formula)
(Mn2+,Fe2+)Al(PO4)(OH2)・H2O
モース硬度
(hardness)
  5  
比重
(density)
3.06-08
屈折率
(Refractive index)
1.628−629

 

  ヘスフォライトはどうやら,ペグマタイトに特有の鉱物の様です。 
どうやらというのも、私の持つあらゆる資料にこの鉱物についての記載が皆無なため、名前の由来など、詳細が分かりません。
  (2001年にホームページ公開時の状況でした。 現在ではインターネットで鉱物に関する、ほぼあらゆる情報が入手できます。10年余りなのに、隔世の感があります。)
 そんな風に何もかも分からない鉱物にも拘らず、結晶とルースとが入手できたのは驚きですが、上記のような結晶系等の詳細を何時、どうやって得る事が出来たのか,実は全く記憶がありません。
 名前の由来はこの鉱物の持つ朝焼けのような色合いから、ギリシア語の ” eosphoros : 夜明け” に因み1878年に命名されました。 
  語源にしたがって、鉱物名としては Oesphorite (エスフォライト) と記される事があります。
 ヘスフォライトより50年ほど早く発見された、色も結晶形もそっくりな鉱物で Childrenite があります。
 実は化学組成も同じですが、マンガン成分より、鉄成分比が高く、したがって 比重と屈折率がやや高い値を示します。 
  ただし肉眼での両者の識別は殆ど不可能です。 
 
 ヘスフォライトとチルドレナイトとはマンガンと鉄成分比とが僅かに異なる個溶体として生成する鉱物です。 

 ルースも結晶も燐酸塩鉱物に特有の潤んだような光沢を持っており、また多数の亀裂や罅が入っています。
 上記のルースと結晶とを入手したのは場所も時間も全く異なりますが、特徴からすると,いずれも同じ産地のミナスジェライスの Taquaral ペグマタイトからのものと思われます。
  ブラジル,ミナス・ジェライス,Itingaの町の近く、Taquaral のピンクの水晶のペグマタイト鉱床に比較的に豊富な産出があり、コレクター用の鉱物として採掘されているとのことです。
 ともかく滅多に出会うことのない鉱物ですので,ルースに遭遇しただけでも幸運であったと言うべきでしょう。