新着結晶展示室
(New Crystal Gallery)
2025 November : リヒテライト(Richterite)、クリード石(Creedite)、普通輝石 (Augite)
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| リヒター閃石(Richterite) 22x13x9mm | クリード石 ( Creedite) 28x24x16mm | 普通輝石 (Augite) |
| Ladhar Medam, Sar-e-Sang, Badahkshan, Afghanistan | 貴州省 黔西南 沙子鎮鉱山 | Tanzania |
リヒター閃石 (Richterite) : Na2Ca(Mg,Fe,Al)5(Si, Al8)O22(OH,F)2
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| 3.5g 22x13x9mm Sar-e-Sang, Afghanistan | ||
| Feceted Richterites | |
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| 0.36ct 5.5x4.0mm | 0.86ct 9.7x3.4x2.4mm |
| Sar-e-Sang, Afghanistan | |
リヒター閃石は19 世紀、ドイツの鉱物学者、H.Theodor Richter (1824-1898) に因んで 1851年に命名された角閃石の一種です。
角閃石はありふれた造岩鉱物ですが、リヒター閃石は世界で数か所から発見されるだけの、角閃石の中では稀少な種類です。
そして、2000年代初頭に、アフガニスタンのラピスラズリ産地、サーレサンにて、初めて宝石質の結晶が採集されました。
宝石質とは言え、写真の様な結晶片から透明な部分のみを取り出してカットするため最大でも1カラット程度の、無色、或いは淡黄色の小さな見映えのしないルースが得られるだけです。
まるで見映えがしないため、滅多に姿を見せないルースに加えて、今回結晶標本まで、無競争で入手出来た次第です。
この結晶標本には Winchite なる呼び名がついていて、調べたところ、リヒター閃石と、ほぼ同様の組成だが、含まれる鉄とマグネシウムのイオン価が異なる変種の名前です。
クリード石 (Creedite) : Ca3Al2(SO4)(OH)2F8・2H2O
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| 6.4g 28x24x16mm Quinlong Co., Shazi deposit, Quianxinan, Guizhou, China | 7cm Santa Eulalia, Mexico | |
クリード石もリヒター閃石閃石に劣らず稀少な鉱物です。
コロラド州の Creed、Wagon Wheel Gap の原産地に因む命名です。
メキシコのサンタ・ユーラリア鉱山産の紫の結晶が有名ですが、近年、カザフスタンの Akcha-tau からメキシコの結晶と同じ透明な紫色の30㎜の大きさの結晶が採集されたという情報があります。
写真の結晶は中国南部、湖南省から貴州省に伸びる長大な金―水銀―アンチモン鉱床にある、貴州省の晴隆県、黔西南の沙子鎮鉱山産の標本です。
普通輝石 (Augite) : (Ca,Mg,Fe,Al,Ti)2(Si,Al)2O6
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| 2.2g 15x11x8mm | ||
| Tanzania | ||
角閃石同様、輝石もありふれた造岩鉱物です。
が、輝石族の鉱物には翡翠輝石、透輝石、リシア輝石、薔薇輝石等々、宝石として珍重される一族が多数あります。
今回紹介するのは、そうした輝石族を代表する、普通輝石です。
日本でも、最大10㎜程の大きさの結晶を産する土地があります
残念ながら普通輝石に含まれる鉄とチタン成分のために真っ黒になってしまうので、宝石質の透明な結晶は存在しません。
写真の結晶は」タンザニア産の15mmに達する、単斜晶系の結晶標本の見本のような端正な姿の標本です。