新着結晶展示室
(New Crystal Gallery)

April 2024  :  ブルガリアの方解石と内モンゴルの蛍石
   
  方解石(Calcite)
Bulgaria 
 蛍石(Fluorite)
黄崗鉱山 Mongolia

ブルガリアのピンク方解石
     
512g 10.5x10.0x5.8cm
Erma Reka, Androv Mine, Rhodope Mtns, Bulgaria 
 紫外線照射 (Ultra-Violet illumination)
   極東ロシアクのダルネゴルスク鉱山産の極淡いピンクの色合いの方解石は有名です。
その他にモロッコとザイールからはコバルト発色の濃い色合いの方解石が採れます。
 今回入手したのは、ブルガリア産のかなり濃いピンクのマンガン発色の方解石です。
紫外線照射ではさらに濃いピンクに色づきます。
Mindat. で調べると、場所はブルガリア最南部、ギリシア国境から5㎞も離れていない、ロドペ山脈中にある鉱山で、主に、亜鉛と鉛の熱水鉱床に、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱、重晶石、とともにマンガン方解石を産出する、とあります。
 堀・ミネラロジーのラベルが付いた、マンガン方解石結晶の逸品です。
 

内モンゴルの蛍石 (Fluorite from South Mongol)
     
濃紺色の蛍石  44x34x24mm
黄崗鉱山 (Huanggang Mine)、South Mongol

   北京の北およそ500㎞、大興安嶺最南端にある黄崗山一帯の標高1500~1750mの地に20世紀半ばに、
鉄、錫、タングステン、モリブデン、銅、亜鉛等の金属鉱床が発見されました。
 古生代後期の3億2000万年から中生代初期の三畳紀と、中生代ジュラ紀から白亜紀の1億5000万年~1億3000万年昔に繰り返して起こった深成岩の花崗閃緑岩と石灰岩との接触によるスカルン作用にて、巨大な金属鉱床が生成されたと考えられています。
 前述の金属鉱床に典型的な産業用鉱物の他に、2010年以降、緑柱石、柘榴石、透輝石、ユークレース、マンガン方解石、珪灰鉄鉱、等々の数十種に及ぶ博物館級の結晶が世界の鉱物市場に姿を見せ始めています。
 蛍石もピンク、濃紫、濃紺、青緑、無色透明、と様々な色合いのものが産出しています。
今回入手した蛍石は、小さな濃紺の結晶の集合体です。
  蛍石としては珍しい濃紺の発色は、三価のイットリウムと、弗素原子が欠落しその空隙を補った2個の電子との間の電荷移動による発色かと考えられます。
 
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