新着結晶展示室

December 2015 : ブラジル特産結晶 (Brazilian Crystals)



ブラジリアナイト (Brazilianites)

38.2x26.4x20.1mm 37.6x31.2x17.7mm

  1942年、ブラジル、ミナス・ジェライス州南部の燐酸ペグマタイト地帯から発見されました。
これを見たアメリカの鉱物学者、フレデリック・ポー博士は直ちに新鉱物と認め、産出国に因むブラジル石と命名されました。 
 その後、北米東岸のペグマタイト地帯のニュー・ハンプシャー州等からも標本級の発見はありますが、産出の大半はブラジルに限られ、その名のとおり、ブラジル特産の鉱物と言えるでしょう。
 ブラジルでも産出は少なく、鉱物フェアで見かける機会が少ない鉱物です。
最近、大きな晶洞が発見されたようで、美しい結晶標本がネット市場に姿を見せるようになりました。 透明度が低く、宝石質ではありませんが、結晶標本としては見事な水準です。

ナヴェガドーラ鉱山のスペッサータイン結晶 
(Spessartine from Morro Navegadora, near Conselleiro Pena, Minas, Gerais, Brazil)

 2003年、ミナス・ジェライス州南部のゴヴェルナドール・ヴァラダレスの東、コンセリェイロ・ペーナ近くのナヴェガドーラ鉱山にて奇妙なスペッサータインが発見されました。
 結晶の姿を留めない、骸骨のような結晶です。
恐らく斜長石脈中の結晶が,後に貫入した熱水による溶融作用を受け、結晶構造を残して空隙を埋めるように再成長したものと考えられます。 
 不思議なことに、完全な結晶形を見せる標本は一つもなく、最大では10pにも達する、エッチングされた成長構造を見せる結晶だけが採集されています。
 透明度の高い結晶ですから、カッとすればきれいなルースが得られると思いますが、それではありふれたスペッサータインのルースの価値しかありません。 稀なる標本としてガーネットとしては例外的な高値で時折市場に姿を見せます。
20.2x18.3x12.1mm

バイア州、ブルマードの灰電気石 (Uvite Tourmaline from Brumado, Bahia, Brazil)
  カルシウムとマグネシウムに富む灰電気石は紅茶で名高いスリランカのウヴァ地方で発見され命名されたトルマリンの変種です。
 実はビルマのサルウィン川沿いのカレンニ丘陵で20世紀初頭に発見されていた、ヴァナジウムを含み、エメラルドを思わせるドラヴァイト成分との固溶体が、やはり灰電気石であったことが判明しました。 同じビルマのモゴクからも1997年に鮮やかなエメラルド色のウヴァイトードラヴァイトが発見されましたが、いずれもごく少量が採集されたのみです。
 現在市場に姿を見せるのは、ブラジル、バイア州の世界最大級のマグネサイト(菱苦土石)鉱脈の晶洞中に時折発見される灰電気石の結晶です。
 ほとんど柱面が無く錘面のみからなる結晶の群晶が3年に一度ほど市場に姿を現します。
20x18x16mm


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