新着結晶展示室
(New Crystal Gallery)


February 2022 : ヴェトナムのアクアマリン (Aquamarine from Vietnam)


 
Aquamarin 8 ~ 18mm  
 Xuan Le Village, Thanh Hoa Province, Vietnam
 
 
   
アクアマリン鉱山 No.3  崩積ペグマタイト鉱床 結晶 1.5~7㎝ ルース 1.34~6.96ct  最大の結晶 8.9㎝ 

   ヴェトナム各地にルビー・サファイア、スピネル等の豊富な宝石が発見されたのは1990年代です。
1990年代の半ばごろにタン・ホア地方のラオス国境に近い山岳地帯に美しいアクアマリンが発見されました。
 標高500~800mの、広さが100平方㎞に及ぶペグマタイト地帯に、厚さが10~30㎝のレンズ状、長さが数m~数十mの少規模な鉱床が散在し、地図の3番で記された山岳地帯に4ヶ所の鉱山が存在します。
 鉱山とは言っても、実際には深さが 5~20m の立坑を人力で掘り下げ、風化した土砂の中から結晶を拾いだすといった初歩的な作業による採掘が行われています。
 アクアマリンは風化されたペグマタイトの鉱床に水晶、、トパーズ、柘榴石と共に発見されます。
 ヴェトナムのアクアマリンの特徴は、濃い色合いの、包有物が少ない、端正な姿の結晶として産することです。
 2000年初め頃から、写真のような結晶やカットされたルースが紹介されるようになりましたが、結晶が日本市場に登場するようになったのは、ほんの2~3年前からのことです。
 アクアマリンの結晶はこの20年来人気が高まり、どの産地であれ5cm程の結晶に数万円の値が付くほど高騰するようになってしまっています。
 とりわけ濃い色合いで端正な姿のヴェトナム産の結晶は、ブラジルやパキスタンの淡い色合いと比べてさらに高価な水準でした。
 が最近かなりの量が入荷されたようで、単体では売りにくい、小さな結晶をまとめてのオファーがあり、ようやく入手できました。
 冒頭の写真のように、小さいながら驚くほど濃い色合いの端正な姿の結晶です。
この濃い色合いは最大で1.5%に達する高濃度の酸化鉄成分によるものです。
 最大では35カラットの大きさのルースがカットされたとのことですが、大半はヴェトナム市場で流通しているとのことで、日本市場では見当たりません。
 もっともアクアマリンのルースの産地が云々されることは、かつてブラジルのサンタ・マリア鉱山から採れた、深い空色以外には例がありません。
 ひょっとすると、和光や田崎真珠等の高級宝石店には出ているのかも知れません。


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