新着結晶展示室

March 2017  : 緑柱石(Beryls)


     
 水晶中のアクアマリン 65x47x27mm
佐賀県富士杉山、Saga, Japan
 アクアマリン 最長の結晶 Ø0.8mmx17mm
岐阜県蛭川村、Gifu, Japan
曹長石を伴うゴッシェナイト 50x20x21mm
Pakistan


       
 緑柱石 34x21x16mm  長石中のエメラルド 66x55x35mm  エメラルド 9x6x7mm 水晶中のエメラルド結晶 9.5x3.0mm
 中国 雲南省 文山、麻栗坡、(Malipo, Wenshan, Yunnan, China) Zambia 


日本産の緑柱石(Japanese Beryls)
      かつて福島県、石川町、茨城県、山の尾、岐阜県、苗木周辺、佐賀県、富士杉山、等の採石場のペグマタイト鉱脈で採集することが出来た、緑柱石の結晶ですが、現在ではほぼすべての産地で鉱脈が枯渇したり、あるいは産地自体が宅地やゴルフ場等に転用されて消失しまいました。
 幸い、ネット市場におそらくはコレクターの放出品が時折り姿を見せるので、日本産の鉱物標本の入手が可能です。
 国産のアクアマリン標本としては、写真の佐賀県富士杉山産のものが、色合いや、中には透明な結晶もあり、もっとも美しいものです。
 冒頭の岐阜県蛭川村のアクアマリンは直径が1㎜足らずの細さで針のようですが、こんな繊細な結晶をどうやって採集したのか ? 
 おそらくは風化した石英結晶中に閉じ込められていたものかと思います。
淡褐色のものは、おそらく酸化鉄を含む粘土が、石英の罅から入り込んで付着したと考えられます。 
 7㎜、16㎜  


パキスタンのゴッシェナイト(Goshenite from Pakistan)

     無色の緑柱石は、最初に発見されたアメリカ、マサチューセッツ州ゴッシェンのペグマタイトに因んでゴッシェナイトと 呼ばれます。
 緑柱石の大半は不純物の鉄により淡青、淡緑、黄色、金色となり、無色の結晶は稀にしか発見されません。
 このパキスタン産は、背面にぎっしりと灰長石の結晶群と小さなガーネットと板チタン石とを伴う、如何にもペグマタイト特有の鉱物標本です。
  


中国,雲南省,文山,麻栗坡の緑柱石とエメラルド(Beryl and Emerald from Malipo, Wenshan, Yunnan, China)
     
 エメラルド結晶 41x22mm 内部に亀裂が多いが、透明度の高い結晶  5.06ct 
 1990年初頭、中国雲南省最南部、ヴェトナム国境まで10㎞程の文山の麻栗坡のタングステン鉱山にエメラルドが発見されました。 
 この産地のエメラルドはトルコ石のような緑色が特徴ですが、この色はクロムではなく、ほぼヴァナジウムによる発色です。
 冒頭の写真のように、中にはヴァナジウムの含有量が低く、単なる緑柱石としか呼べない標本も見かけます。
こうした産状ですから、宝石質のエメラルドはないと思っていましたが、GIAの資料にマリポー産の宝石質の結晶と5.06カラットの大きなルースの写真がありました。
 一般に出回っている結晶とは色合いも異なり、高い透明度がありますが、稀にはこのような品質を産することもあるようです。


ザンビアのエメラルド結晶(Zambian Emeralds)
     コロンビアに次ぐ質と量を誇るザンビアのエメラルドですが、結晶標本は滅多に市場に姿を見せません。
  おそらく、コロンビアと異なり、現地でのカット産業が皆無なので、全ての結晶がインドやイスラエルに送られてしまうためでしょう。
 大型の美しい結晶は特殊なダイアモンドを埋め込んだチェーン・ソーで高圧水を送りながら周囲の母岩ごと刳り抜く手間のかかる手法で堀り出し、後にじっくりとエメラルド結晶マトリクスを取り出したものが博物館や、富豪のコレクターの手に収まっているのを見かけます。
 そうした結晶は天文学的な値段で到底入手不可能ですから、まれにネット市場に姿を見せる、小さくて貧弱な標本しか手に入りません。


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