新着結晶展示室
(New Crystal Gallery)


March 2023  :  蛍石 (Fluorites)


 
 Bayindir Kaman Turkey Kamariza Mine Greece   Hradiste Czech

 今回は珍しい産地の蛍石です

ギリシアの蛍石( Greek Fluorite)
     
81x52x31mm 85g Kamariza Mine Laurion Attiki Greece   165x105x105mm 1650g  Cato Sounio Mine  Sounion Greek

   ギリシア産の蛍石とは、中々お目にかかりませんが、きれいな色合いの結晶を入手しました。
熱水による溶融作用を受けたため、6面体の結晶面がはっきりとは分かりませんが、下部に隠れていて溶融を免れた部分が中央の写真です。 結晶形が少し残っています。
 MINDAT にてギリシアの蛍石の200枚ほどから探し当てたのが、隣接した Cato Sounio 鉱山のよく似た色合いの結晶が右側の写真です。 かなり大きく立派な結晶形を見せる標本です。
 Kamariza 鉱山はアテネの東南30㎞程の半島の先端にある鉱山です。
この鉱山は300m四方の範囲内に7つの鉱山があり、それぞれは地下の坑道を通して繋がっています。
古代から金、銀、銅、鉛、亜鉛等が採掘されていたとのことです。
 石灰岩の層に熱水が貫入して様々な鉱物が生成した鉱床で、結晶が溶融作用を受けたのはこのためと考えられます。
 MINDAT の他の蛍石の写真には数珠が連ねたような形、鍾乳石のような形と、一見蛍石とは思えないような多彩な姿の蛍石の写真が多数見られます。
 蛍石の他に、エメラルドグリーンの透明な宝石質のアダム鉱 【Adamaite : Zn2(ASO4)(OH)】が載っていました。

トルコの蛍石 (Fluorite from Turkey)
   
  トルコの首都、アンカラの東南70㎞ 程にある鉱山です。
 MINDAT で調べてみると、 Bayindir Nephline Syenite (霞石閃長岩)と、大陸の衝突により中央アナトリア地方に3本のアルカリ閃長岩が噴出した地域との簡単な説明があるのみで、どのような鉱山なのか不明です。
 数枚の蛍石の写真がありましたが、真っ黒な岩塊といった感じの標本ばかりです。
 写真の標本はごく小さなものですが、濃い紫の美しい色合いです。
 26x21x15mm 10g  
Bayindir, Kaman Dist, Turkey   

チェコの蛍石 (Fluorite from Czech Republic)
      この蛍石を産した鉱山はプラハの北西100kmの殆どドイツ国境に近いエルツ山脈中にあります。
 山脈の西、ドイツ側にはケムニッツ、ドレスデン、ライプツィヒ、イエナ等の都市があり、かつてのヨーロッパの文化と産業を担った地域です。
 エルツ山脈 はドイツ語で (Erz Gebirge : 鉱床山脈)と呼ばれていますが、チェコ側、ドイツ側ともに無数の重金属や石炭鉱山が存在する、ヨーロッパで屈指の豊穣な鉱床地帯です。
 この鉱山は15世紀頃から鉄鉱石が採掘され、19世紀末に放棄されましたが、20世紀なって断続的に重晶石が採掘され、さらに第二次大戦後は77万トンの蛍石が採掘されました。
 この標本は小さく、あまり見映えがしませんが、透明な淡い紫色の6面体の結晶の一部が褐色の、おそらく重晶石に覆われています。
 33x21x16mm 15g  
Hradisté Klasterec nad Ohri   
     


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