新着結晶展示室
(New Gemcrystal Gallery)
May 2024 : 燐灰石 (Apatite)
アパタイト結晶片 159.3ct 48x45x6mm |
アパタイト カボション 20.82ct 20.0x16.7x5.3cm |
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Brazil | Madagascar |
ブラジルのアパタイト結晶
アパタイトの中には美しい色合いのものがありますがモース硬度が5と低く傷つき易いため、美しいルースはかつてはコレクター用にカットされるのみでした。
ところが、1890年代末にブラジルのパライバ州から銅とマンガンを含み、熱帯のサンゴ礁を偲ばせる鮮明な色合いのトルマリンが発見されると、そっくりの色合いのアパタイトにも注目が集まりました。
パライバのトルマリンの鉱脈が枯渇して新たな産出が激減し、価格が天文学的な水準に高騰したため、見た目はそっくりで手頃な価格のアパタイトが宝飾用に珍重されたということです。
結晶の結合の弱いアパタイトは内部にかなりの罅があるため、大きなルースは少ないのですが、パライバのトルマリンの大半も1カラット未満のルースしか採れませんから、代替品としては格好の品です。
この魅惑的な色合いの結晶は恐らくバイア州産と思われます。
マダガスカルのアパタイト
ブラジルと並び、パライバのトルマリンを彷彿させる輝かしいトルコ石の色合いのアパタイトを産するのがマダガスカルです。
マダガスカルからは稀に10カラットを超える大きなルースが得られるほどの結晶が発見されます。
が、そうした稀な結晶は全てタイかスリランカでルースに加工されてしまうので、結晶標本として入手する可能性はまずありません。
今回入手したのは、不透明ながら美しい色合いでカボションに加工されたものです。