新着結晶展示室
September
2016 : 日本の鉱物
デュモルチエ石 | ディアスポ-ル | リシア雲母 | |
55x44x24mm | 45x30x30mm | 46x36x21mm | |
栃木県黒磯町百村 | 長野県上田市真田 信陽蝋石鉱山 |
福岡県長垂 | 菱マンガン鉱 (Rhodochrosite) 16x14x6cm 北海道稲倉石鉱山 |
複雑な地殻変動で生まれた日本は狭い国土の割には鉱物資源に恵まれ、半世紀ほど昔までは国中の至る所に鉱山があり、多様な鉱物が採掘されていました。
しかし、大半の鉱床は小さく、鉱脈も細いため、国が豊かになり、海外の安価な鉱石の輸入が増大するとともに、1960年代まででほぼ全ての鉱山が閉鎖されました。
現在日本で稼働しているのは、鹿児島県にある、驚異的な金の高品位を誇る菱刈鉱山のみです。
が、かつて産した多彩な鉱物はインターネットの時代になって、細々ながら市場に姿を現しコレクターを喜ばせてくれます。
今回紹介するのは、今となってはかつての産地を訪れたところで、鉱山の痕跡すら見出すのも難しくなってしまった産地の貴重な標本です。
デュモルチエ石 ディアスポール リシア雲母 菱マンガン鉱 栃木県黒磯市百村(もむら) 長野県上田市真田信陽蝋石鉱山 福岡県長垂 北海道余市稲倉石鉱山
デュモルチエ石
栃木県黒石市百村の蝋石鉱山は日本では希少なデュモルチエ石の産地です。
他に産地があるのかと探してみたところ、さすがに加藤さんのコレクションに、レインボー・ガーネットで名高い
奈良県天川村産の1㎜ほどの長さの結晶のコレクションがありました。
花崗岩のような大峰酸性岩中に微小な結晶をよくぞ発見し、デュモルチエ石と特定できたものと感心するのみです。
ディアスポール
これも蝋石鉱山の蝋石中に二個の5㎜大の結晶とその他に無数の小さな結晶が含まれている標本です。
実は、この鉱山の存在も、日本で結構な大きさのディアスポールが採れたことも知りませんでした。
やはり加藤コレクションに岡山県備前市三石の恐らくは蝋石鉱山産の標本があります。
リシア雲母
ペグマタイト鉱床の道端に転がっているような、石英と長石片に小さなリシア雲母がついているだけの変哲もない標本ですが、
日本で有数のペグマタイト鉱床であった福岡県長垂産となれば、こんな標本でも一つは持っていたいものです。
菱マンガン鉱
かつて北海道各地に数多くあったマンガン鉱山の中で余市に近い稲倉石鉱山は、宝石質の美しい菱マンガン鉱を産しました。
遠の昔に閉山になっていますが、現在も鉱山跡地から流れる川の転石を探すと、冒頭の写真のような大きな標本が見つかるとのこと。
そうして採集された標本に今年の7月に北海道の宝石・鉱物フェアでで会いました。
マンガン鉱石は年月を経ると黒く黒ずんでしまいますが、この標本は採れたてを割ったばかりで、鮮やかな薔薇色の切断面を見せてくれます。