新着結晶展示室
(New Crystal Gallery)
September 2019 : 水晶(Quartzs)
Pakistan | 長崎県奈留島 | Brazil |
パキスタンの水晶(Pakistan Quartz)
、ば
パキスタンの最北部バルチスタンから時折、ファーデン・クオーツと呼ばれる水晶がまとまって市場に出ることがあります。
ファーデン(Faden) とはドイツ語で糸,紐を意味しますが、水晶の結晶の中央を貫く白い糸のような筋が見えることに因む命名です。
この白い筋はルーペで拡大してみると微細な泡の集合です。
恐らく珪酸分が過飽和して含まれる水中にて何らかの衝撃により気泡や水泡が発生し、それがきっかけとなって平板状の水晶の結晶が成長して出来るのだと考えられます。
ただし、写真の標本はファーデン水晶の片面しかなく、柱状の結晶が連晶となって成長してしまった、言わば出来損ないのファーデン・クオーツです。
が、平板状と柱状の水晶の連晶というのも興味深い標本です。7.6x4.1x3.9cm
長崎県五島列島奈留島の水晶
(Quartz from Narushima Island, Gotoh Archiperrago, Nagasaki, Japan)
長崎県五島列島の奈留島は小さいながら端正な姿の
日本式双晶を産することで知られています。
島の中央の水晶岳の頂上付近の砂岩の割れ目に蝶々の
ような姿の平板の日本式双晶が入っているのだそうです。
かつては鉱物フェアでよく見かけましたが、現在は
採り尽くされてしまったようです。
今回入手したのは、双晶の片割れの平板状片と小さな
柱状の水晶ですが、奈留島の名高い双晶の片りんを忍ば
せてくれる標本です。平板状と柱状の水晶 8 - 25mm 日本式双晶 20mm
ブラジル・リオ・グランジ・ド・スルの紫水晶
(Amethyst from Rio Grande do Sul, Brazil)
これはごく普通の紫水晶ですが、背面が緑のセラドナイトで覆われていますから、ブラジル南部で採れる大きな晶洞の一部を小分けにしたものです。
20年ほど昔、グランド・キャニオン遊覧飛行の待合室の土産店で5ドルで売られていたものです。
日の当たる店先におかれていたので少し色が退色してはいましたが、結晶面がきらきらと光ってきれいなものです。
遊覧飛行に乗る子供へのプレゼント用として売られていたのでしょう。
ありふれた紫水晶の結晶ですが、この美しさに魅せられた子供たちから将来の鉱物コレクターが出てくるに違いありません。
8.8x5.1x4.8cm