新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)

November 2024: 燐灰石 (Apatites)

 
1.35ct   7.60ct 0.87ct 
Madagascar  Brazil 

マダガスカルの燐灰石 (Malagasy Apatites)

       
 1,35ct 7.70x6.00x3.45mm  7.60ct 14.30x10.37x6.80

 マダガスカルは多彩な色合いの宝石質の燐灰石を産します。
とりわけパライバトルマリンにそっくりの輝かしい青い色合いの燐灰石は宝飾品にも使われるほどの魅力があります。
 しかし、モース硬度が5と低いため傷つき易いアパタイトを宝飾用に使うには、テーブル面を保護するためのデザイン上の慎重な工夫が欠かせません。
 今回入手した青いルースはパライバトルマリンのような輝かしい色合いではありませんが、しかし魅力的な深い色合いです。 この色は五価のマンガンイオンと二価の酸素イオン間の電荷移動による発色です。
 緑色は燐灰石としては珍しい色です。
ごく稀に輝かしい、パライバトルマリンを偲ばせるルースの写真を資料で見かけたことがありますが、これまで実物を見る機会は全くありませんでした。
 今回入手したのは、魅力ある色合いではありませんが、初めて見る緑色の大きなルースです。
美しい緑色の発色はランタノイド系の稀元素による発色と言われていますが、しかしこのルースの発色は不純物の鉄イオンではないかと想像します。
 
ブラジルのピンクの燐灰石 (Brazilian Pink Apatite)
   
 0.87ct 5.5x5.2x4.2mm

   ピンクの燐灰石はパキスタンとアフガニスタンのペグマタイト鉱床、コロンビアのエメラルド鉱山から極めて稀に発見されます。
 この色は成分の一部の弗素原子が欠落した場所を補って入った電子による発色と、1979年に解明されていますから、ピンクの燐灰石は古くから知られていたのでしょう。
 ごく最近、ブラジルからピンク、あるいは淡い朱色の燐灰石のルースが登場しました。
1カラット前後のごく小さなルースですが、透明度が高い、なかなか美しいものです。
 詳細な産地と産状とは不明です。


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