新着宝石展示室 (New Gemstone
Gallery)
April 2015 : 緑簾石
(Epidote)
1.12ct 6.0x5.1mm | 1.23ct 7.4x5.4mm | 0.52ct 5.6x4.2mm |
Srilanka | 福島県塙町長久保 矢塚 |
緑簾石は火山岩や変成岩、特に緑色片岩と呼ばれる結晶片岩の主成分として世界中に普遍的に見られる鉱物です。
大きく美しい結晶も珍しくはありませんが、透明度に欠けるために宝石としてカットされる事は滅多にありません。
偶に見かけるのは殆んどが暗く見栄えのしない色合いのルースですから、物好きなコレクターが気まぐれで興味を示すだけの至って地味な宝石です。
物好きなコレクターとしては、しかし如何に見栄えがしなかろうと、珍しい産地の珍しい宝石があれば思わず手が出てしまうというものです。
スリランカのエピドート (Srilankan Epidote)
スリランカは国の半分近くがペグマタイとと変成岩からなる土地ですから、緑簾石などいくらでもありそうですが、カットされたルースに出合うのはこれが初めてです。
小さいながら、透明度が高く、見る角度によっては鮮やかな金色が映えて、エピドートのルースとしては稀に見る美しいものです。
これは、しかしほぼ同じ成分のごく近種の鉱物である斜灰簾石(Clinozoisite) ではないかと思われます。
エピドート(緑簾石)に見られる二色性が全く見られません。1.12ct 6.0x5.1mm
福島県塙町長久木矢塚のエピドート
(Epidote from Yazuka, Hanawa-Town, Fukushima, Japan)
1.23ct 7.4x5.4mm 0.52ct 5.6x4.2mm 長さ 62mm 今井標本
福島県塙町の矢塚は灰礬柘榴石と緑簾石の美晶で名高い産地です。
長さが62mmもある緑簾石の結晶は世界的な水準です。
前回の展示で、国産の柘榴石としては空前絶後と言える大きく美しいヘソナイトのルースと共に見事な12面体の灰礬柘榴石を紹介しましたが、今回同じ産地のエピドートのルースを展示します。
宝石とは程遠い質のルースではありますが、これでもエピドートとしては国際的な水準の品質です。
水晶を除いては、日本で2種類の異なる宝石ルースを産出した鉱物産地はかつて無かったのではないかと思います。
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