新着宝石展示室
( New Gemstone Gallery )


April 2024 : アフリカのガーネット (African Garnets)


 
 Pyrope Spessartine Garnet  3.04ct Demantoid Garnet  1.14ct
Mozambique   Namibia

モザンビークのアルマンダイン・スペッサータイン・ガーネット
(Almandine Spessartine Garnet from Mozambique)
       
3.04ct 9.6x6.8x4.8mm 

   モザンビーク産のロードライトとしてオークションに出品されていたガーネットですが、何枚かある写真を見て、この色合いはどう見てもロードライトには見えず、確認するために入手した次第です。
 早速屈折率を測定したところ, 1.808 の高い値が得られ、これは主にアルマンダインとスペッサータインから成るガーネットであり、パイロープとアルマンダインとの固溶体の、屈折率が 1.73 -1.74 のロードライトではないと判断しました。
 宝石の資料には実はアルマンダイン・スペッサータイン(スペッサータイン・アルマンダイン) と分類されるガーネットはありません。
 しかしながら、近年アフリカから登場
した独特の美しい色合いを持つガーネットは、比重と屈折率から、アルマンダインと
スペッサータインとの固溶体と判断するのが妥当と考えます。
 写真のように、これは非常に美しいガーネットで、他のどのガーネットにもない色合いを持っています。
ナミビアのデマントイド・ガーネット (Namibian Demantoid Garnet)
   
1.14ct Ø6.2x4.3mm 
 デマントイド・ガーネットはかつてはロシアのウラル山脈の漂砂鉱床が唯一の宝石産地でしたが、ロシア革命後に供給が途絶え、21世紀初頭に精力的な探査により一次鉱脈が発見されました。
 が、鉱脈はたちまち枯渇してしまったようで、近年は滅多に市場に姿を見せません。
 2008年にマダガスカル島北西部のマングローヴの湿地帯にデマントイドの鉱脈が発見され、一時はかなりの量の宝石質のルースが市場に姿を見せましたが、満潮時には海面下に水没し、深いトンネルの排水が困難なため、採掘は放棄されました。
 大規模な資本投下により、鉱脈地帯を堤防で保護して再び採掘を行うプロジェクトが検討されているとのことです。
 現在、安定したデマントイド・ガーネットが採掘され、市場への供給が続いているのは、1990年代末にナミビアのエロンゴ山に近いツブシスで発見され、近代的な設備で採掘がおこなわれている、 "Green Dagon Mine" です。
 この鉱山産のデマントイド・ガーネットはクロム成分の含有率が低いものが多く、やや黄緑を帯びているものが多いのですが、中にはウラル山脈産の最上級品に匹敵するようなルースも稀に姿を見せます。
 ともあれ、宝石質のデマントイド・ガーネットが細々ながら市場への供給が続いているのは嬉しい限りです。
写真のルースは、やや透明度が低く、淡い色合いですが、そのため透過光の強い分散効果がよく見えます。
 

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