新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)

2023 April : イリス・アゲート ( Iris Agate )


背面からの透過光で虹が現れる
     
     
91x82x3.0mm Indonesia  97x75x4.7mm Brazil 91x82.3.0mm Indonesia
 
   
正面からの反射光では虹が現れない 
 
91x82x3.0mm㎜           97x75x4.7mm             88x67x2.7mm 

  ” イリス ” とはギリシア語で ” 虹の女神 ” のことですが、瞳の虹彩や瞳と同じ原理で光の量を調節するカメラのアイリス、同じく、花弁に瞳のような縞模様のある花の名のアイリス等広範に使われています。
 イリス・アゲートとは、虹のような光の効果を見せる瑪瑙のことです。
かつては1万個に1個程しか見つからないと言われてきましたが、近年はインドネシア産がかなりの量出回り、珍しいものではなくなっています。
 今回入手したのは、2個のインドネシア産ですが、かなりの大きさで見映えがします。
ただし、虹が見られるのは、背面から強い光を当てた時のみで、正面から見た時にはただの瑪瑙にしか見えません。
 背面からの光でしかイリス効果が現れないのは、瑪瑙が半透明なため、正面から入射した光が反射して戻る間に吸収されてしまうためと考えられます。
 中央の瑪瑙は30年余り昔にブラジルで入手した瑪瑙板ですが、たまたま、北側の窓際に立てかけておいたところ、夏の夕方の日差しを浴びて、外周に近い半透明の縞の部分に虹色の発色が見えました。
 思うに、縞瑪瑙の部分が光の波長の300~700ナノメーター付近の波長の長さの回析格子の役割を果たしてイリス・アゲートの効果を見せているのではないかと考えられます。
 縞瑪瑙は水中で微細な繊維状の石英結晶がゆっくりと層を成して堆積することが成因です。
微細な水晶の結晶が層を成した部分は透明度が高く、透過する光が回析格子を通して虹のように異なる波長の光に分かれて出て来るためにイリス・アゲート効果を示すのでしょう。
 となると、イリス・アゲートはそんなに珍しいものではなく、瑪瑙の塊を、光が十分に透過できるように薄片に切断すれば、かなりの比率で虹が見えることが起こると考えられます。
 中央の薄片は厚さが4.7㎜とやや厚さがあるので、光の透過量が少なく、イリス効果がはっきりと現れないのでしょう。
 新たに入手した瑪瑙片は厚さが3㎜以下と薄いためにイリス効果がはっきりと見えるのでしょう

  

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