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(New Gemstone Gallery)



August 2018  : パイロープ・アルマンダイン ガーネット


 
パイロープ・アルマンダイン ガーネット
(Pyrope Almandine Garnet) 
 Tanzania


 8.61ct 13.66x11.30mm 6.18ct 12.45x9.82mm
S.G. : 3.859  R.I. :  1.757 S.G. : 3.877  R.I. : 1.746
Tanzania 

  化学組成
( Formula)
 モース硬度
 (Hardness) 
 比重
 (Specific Gravity)
屈折率
 (Refractive Index) 
苦礬柘榴石 (Pyrope)   Mg3Al2(SiO4)3  7¼  3.62-87 1.72-76 
 鉄礬柘榴石 (Almandine)   Fe3Al2(SiO4)3   7½ 3.93 - 4.17 1.74-83 

 アフリカ産のガーネットを入手しました。 タンザニア産と考えられます。
ロードライトということでしたが、紫味の全くない色合いで、比重と屈折率とを測定しなければ、その正体が分かりません。
 比重と屈折率からはパイロープを主にアルマンダイン成分を多少含む固溶体と判断しました。
この組成のガーネットは一般にはロードライトと呼ばれますが、紫味の色合いが見られないので、ロードライトというよりは、パイロープ・アルマンダインと呼ぶべきだろうと考えます。

 これらのガーネットの発色は下記の結晶構造図と
不純物のクロムイオンとの関連で説明されます。

ガーネットの結晶構造と発色の仕組み 

    赤い球で示される二価のイオン(マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン)
 が8つの青い球で示される酸素原子に囲まれて配置されています。
 6つの酸素原子からなる紫の8面体は三価のイオン(アルミニウム、鉄、クロム)
を囲んで配置されています。
 黄色であらわされたシリコン原子は4つの酸素原子に囲まれた独立した4面体
として配置されています。
 アルマンダインの赤、パイロープの赤茶色、ロードライトの赤、および赤紫の発色
はいずれも二価の鉄イオンの歪んだ6面体配置による光の吸収が原因です。
 異なる種類のガーネットでほぼ同じ仕組みで発色が起こっています。
 したがって、ガーネットの種類を色合いだけで識別するのが困難なのです。
  ただし、赤いパイロープにはアルミニウムの3~8%が三価のクロムイオンの
八面体配置で置き換えられているものが少なからずあり、これが紫色の発色の
原因と考えられます。 


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