新着宝石展示室
( New Gemstone Gallery)

August  2021 : 閃亜鉛鉱 ( Sphalerite)


 
閃亜鉛鉱 ( Sphalerite ) 1.66 - 2.09ct 
Picos de Europa, Spain



   
 1.66ct Ø6.9x4.3mm  2.09ct 8.7x6.8x3.9mm 2.01ct 8.1x6.2x4.5mm 


   
スペイン北西部、カンタブリア山脈、ピコス・デ・エウローパ峰の標高1700m地点にあるラス・マンフォーラス (Las Manforas Mine) 鉱山跡地   

 閃亜鉛鉱は一般には不透明な金属光沢を持つ4面体、12面体の結晶、あるいは団塊として発見されます。
きれいな結晶面が鏡のように光を反射することから和名が命名されました。
 純粋な結晶は亜鉛成分が67%、硫黄が33%の主要な亜鉛鉱石です。
一般には鉄、マンガン、錫、鉛、銀、水銀、マンガン、インジウム、チタン、ガリウム、ランタン、ゲルマニウム等の金属を不純物として含む不透明な結晶や団塊として産します。
 こうした不純物を殆んど含まない純粋な結晶が、世界各地の鉛や亜鉛鉱山から極めて稀に発見され、日本ではその色合いから鼈甲亜鉛と呼ばれていました。
 世界の亜鉛鉱山で、宝石質の閃亜鉛鉱結晶を数多く産したのがスペイン北西部カンタブリア山脈の、ピコス・デ・エウローパ(ヨーロッパ頂峰)山の山腹にある鉱山です。
 かつてはアリーバ鉱山 (Aliva Mine) と呼ばれていましたが、最後はラス・マンフォーラス (Las Manforas Mine)へと名称が変わったようです。
 この地で金属鉱脈が発見されたのは16世紀末に遡り、鉱山は1980年代末まで稼働されました。
閉山となった後も、周囲に残る鉱脈から結晶が採集され、現在も細々と、宝石質の結晶からカットされたルースが市場に姿を見せます。
 近年は少なくなり、見かける機会は滅多になく、値段はかつての数倍に高騰しています。
とは言え、モース硬度が低く劈開性が強いので宝飾用途には使えず、コレクターが求めるだけの宝石ですから途方もない値段にはなりません。
 今回入手したのは、濃い橙、金色、深い緑を帯びた金色と、閃亜鉛鉱のルースを代表するような組み合わせです。

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