新着宝石展示室
(New Gemstone
Gallery)
December 2017 : ナミビアの燐灰石 (Namibian
Apatites)
Apatites 0.20ct(5.5x3.2mm) -
2.75ct(11.82x7.84mm) Aris Quarries, Aris Windhoek, Namibia |
初めて見るナミビア産の燐灰石です。
亀裂や包有物が多く、色むらがあったりと標本級のルースでとても単体では売れそうもないので、まとめて80ドル弱と、カラット当たりでは8ドルのお買い得なパッケージでしたから、美しい色合いの燐灰石ルースの標本として、コレクションに収まった次第です。
透明度の高いルースは2カラット弱で400ドルもの高値となります。
正確な産地は不明でしたが、この淡紫色の色合いの燐灰石はパキスタンやアフガニスタン、アメリカ・メイン州、ブラジルのパライバ州といった、限られたペグマタイトにしか産しません。
最近の MinData の情報量は大したもので、鉱物名と産地から、何処でどのような結晶が採れるか数多くの産地の結晶と鉱山の写真まで出てきます。
あれこれ比較した結果、このルースはナミビアのウィントフックの南20㎞にあるアリス採石場産と見当が付きました。
2.75ct 11.82x7.84mm | 1.05ct 7.2x5.2mm | 1.55ct 7.4x6.4mm | 0.80ct 6.6x4.5mm |
0.20ct 5.5x3.2mm | 0.75ct 7.2x5.2mm | 0.35ct 7.2x4.4mm | 0.65ct Ø5.78mm | 0.70ct Ø5.8mm | 0.45ct Ø5.1mm |
ナミビア・アリス採石場の燐灰石結晶
(Apatite crystals from Aris Quarries, 20km south from Windhoek, Namibia )
結晶の大きさが不明ですが、恐らくは1,2㎝程度でしょう。
この大きさと透明度では、冒頭の写真のようなルースが精いっぱいと思われます。
Ariskop Quarries, Aris, Namibia |
大型の重機を使った大規模な採掘が行われています。
この採石場の地質はカナダのモン・サン・チレールと同じアルカリ火成岩であるフォノライト(響岩)のペグマタイトという、
稀な産状です。
MinData によると100種以上の多様な鉱物種が採取され、10種余りが新種で分析の途上にあるとのこと。
写真のような大規模な採掘を行うほどの資源鉱物は、100種のうち磁鉄鉱と閃亜鉛鉱くらいしか含まれていませんが、
いずれもペグマタイト鉱脈ではごく僅かな標本程度の量しか得られません。
おそらく、この鉱山で採掘しているのはモン・サン・チレールと同様に、建築用のセメント材料と考えられます。