新着宝石展示室(New Gemstone Gallery)


December 2017 : ルビー(Ruby)


 
レーザー用ルビーロッド と ガラス充浸ルビー 
レーザー用ルビーロッド (Synthetic ruby rod for laser)

      レーザー用ルビーと呼ばれていますが、実際は淡いピンクですから、本来はサファイアと呼ぶべきですが、ピンク~赤いコランダムは一般にルビーと呼ばれます。
 この色はクロム発色ではなくチタンと思われます。
 かつてはレジの値札を読み取るスキャナーや医療用等にルビーレーザーが使われていたことがありますが、現在のレーザーは殆どが半導体に置き換わっています。
 このような固体レーザーは大出力の加工用レーザー、あるいは核融合用途といった特殊な用途に使われます。
 調べてみるとチタン・サファイアレーザーは精密・微細加工用にも使われているとのこと。
 この大きさで2,000円程度で売り出されていたということから、検査に不合格の品が流出したのかと思われます。したがってロッド端にレーザー反射用の鏡面加工が未処理のままです。
ロッド端がピンクに見えるのは、内部の色が反射しているだけです。 
ルビーロッド Ø8㎜x14cm 22g   




ガラス充浸ルビー (Glass filled Ruby)
     ルビーに限らず、宝石の原石の大半は包有物が多く不透明で宝石質ではありません。
近年、ルビーの重要な産地として台頭してきたマダガスカルやモザンビーク等も例外では
ありませんが、原石のほぼ全てがタイやスリランカで研磨、加工されます。
 恐らく、費用をかけて輸送されてきた原石を無駄にしたくないためでしょう、到底宝石と
して使われないような低品質の原石をルビーと屈折率が近い鉛ガラスを充浸する処理が行わ
れます。
 これを研磨すると、写真のように外見ではきれいな宝石質のルビーと変わらないルース
に変貌します。ガラス充浸と表示して廉価なアクセサリーに使うのであれば問題はありません
が、宝石にセットして法外な高値で売る業者もないわけではありません。
 もちろん、まともな宝石商はガラス充浸ルビーなど扱わないし、専門家が調べれば直ちに
分かります。
 このルースはこの種のルビーが出現したころ、どんなものか見るために入手したものです。
肉眼では分かりませんが、顕微鏡で確かめると、確かに内部にガラス充浸で起こる気泡の混入
が認められます。 
 
5.48ct 13.5x10.4x4.1mm   
 Mozambique  


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