新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)
December 2022 : 楔石(くさびせき)・チタナイト・スフェーン ( Sphene )
1.27ct 6.5x5.6x4.3mm | 1.10ct 6.7x5.1x3.9mm | |||
Madaghascar | Pamir Mtn. Tajikistan |
かつては、鉱物標本として、その結晶形がくさびに似ていることからギリシア語の ” Sphenos = くさび ” に因む 楔石、あるいは 40.8% の酸化チタンを主成分 (CaTiSiO5) とすることからチタナイトと呼ばれていました。
が、2010年頃からマダガスカルやパキスタンから高濃度のヴァナジウムを含み、緑と橙との多色の大きな結晶が発見されるようになり、注目を浴びるようになって、呼び名もギリシア語源のスフェーンが一般的になり、宝石店でも見かけるようになりました。
屈折率が 1.90-2.03 と高く、副屈折率が大きく、さらにダイアモンドを凌ぐ 0.051 の大きな分散値により、眩い虹の煌めきを示すことも相まって、近年人気が急上昇して5カラットを超えるような大きなルースは数十万円もの、到底手の届かない水準になっています。
冒頭のルースは実は数年前に入手していたのですが、あんまり小さくて、引き出しの奥に忘れられていたものです。
小さいとは言え、しかしカットの水準も高く、透明度の高いルースからは盛大に虹の煌めきがほとばしる美しいルースです。
とりわけ、パミール山脈産のルースは金色と橙と緑のファイアーが印象に残ります。