新着宝石展示室
( New Gemstone Gallery )
December 2024 : 水晶 (Quartz)
アメトリン(Ametrin) レモン・クォーツ
(Lemon Quartz)ルチル・クォーツ (Rutil Quartz) Anahí Mine, Bolivia Madagascar Bahia, Brazil
アメトリン (Ametrin)
27.03ct 28.2x14.8x10.6mm
1970 年代に市場に登場した金色と紫の水晶は、果たしてそれが天然のものか、あるいは人工なのか ?
天然とすれば一体何処で採れるのか、如何なる産状なのか ? 宝石商や専門家の間で長年の謎でした。
この二色の水晶がブラジル国境に近いボリビアのチャコ、ブラジルではパンタナール平原と呼ばれる、雨季には広大な湿地帯になる熱帯雨林中の鉱山であると判明したのは1993年のことでした。
同じ頃、アナイ鉱山の北50㎞に、同じ成因のユルティ鉱山も発見され、以後二つの鉱山から毎年数十トンの水晶が採掘されています。
紫と金色の二色は特異な条件が重なって起こったもので、この二つの鉱山からは、普通の無色や、紫と金色の水晶も産出しますが、やはり、他に類のない、紫と二色の水晶は市場で独特の存在感を示しています。
毎年数十トンも採掘される二色の水晶は、手頃な値段で市場に溢れていますが、そんな中で、今回余りにも見事なルースを見かけたので、思わず衝動買いしてしまいました。
何しろカラット1ドルと破格の水準でしたからためらうまでもありません。
無数にあるバイカラーのアメトリンの中でも、これほど鮮明な色のルースは稀有な存在です。
レモン・クォーツ (Lemon Quartz)
17.82ct 23.50x14.12x10.16mm
金色―黄色の呼び名を柑橘類に例えて名付けたのがシトリンですが、柑橘類と同様にシトリンにも無数の色合いがあります。
市場にある大半のシトリンは、紫水晶や黒い水晶を加熱して発色させたものです。
実は天然の極めて稀に発見されるシトリンは、地味な色合いで宝石としてはあまり魅力がありません。
レモン・クォーツは、金色や黄色にやや緑を帯びた色合いで、未熟のレモンのような色からレモン・クォーツと呼ばれます。
今回入手したのは、確かにレモン・クォーツですが、中々輝かしい魅力あるルースです。
前述のアメトリンと比べると2倍(といってもカラット当たり2ドルにすぎませんが)、ですが、ともあれ、水晶はその多彩な色合いと、大きさの割には信じられないような手頃な価格水準で、コレクターにとっては究極の宝石であることは間違いありません。
ルチル・クォーツ (Rutil Quartz)
75ct 42x22x13mm | 7.36ct 15.0x7.0x5.6mm |
他の水晶類と比べると金色のルチルを内包し、豪奢な輝きを見せるルチル・クォーツは市場の人気が高く、大きなルースでは相当な高価な水準となります。
昔は余計な内包物として斜魔物扱いされていたルチル・クォーツですが、1980年代末にツーソン・ショーやミュンヘン・ショーに出品されたフリーフォームの大型のルースがスター・バーストの命名で評判となり、以後腕利きのカッター達が金色のルチルの輝きの魅力を引き出した作品を次々と発表するようになって、水晶としてはカラット当たり10ドル~100ドルの高値で(それでも他の宝石類と比べれば格安の水準なのですが)売られるようになりました。
今回入手したルチル・クォーツは、カラット当たり1~2ドルと、ガラス並みの水準ですが、その美しさには陶然とさせられます。