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December 2025 : エチオピアのエメラルド(Emerald from Ethiopia)
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エチオピアのエメラルド(Emerald from Ethiopia)
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| 0.96ct 7.9x5.9x3.0mm | 0.45ct 6.2x4.3x2.5mm | 1.36ct |
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| 42.05ct 20x17x16mm | 71.35ct 25x17x15mm | 55.25ct 34x14x13mm | 36x23x46mm | 72g 45x32x26mm |
2016 年にエチオピア南部ケニア国境に 200㎞ 程の地にエメラルドが発見されました。
Oromia 地域の近接した Shakiso Borema Zone と Kenticha Pegmatite 鉱床との二か所の鉱床です。
写真の結晶標本を見ると、コロンビア産を偲ばせる品質です。
ペグマタイト脈がクロムを含む塩基性岩盤と接触してエメラルドが生成したのでしょう。
一般に酸性岩のペグマタイト鉱床にはクロムは含まれれず、アクアマリンやモルガナイト等の緑柱石は生成しますが、クロム発色のエメラルドが発見されることはありません。
が、20世紀末ごろからブラジルのサリニーニャ、カルナイーバ鉱山等にて、クロムを含む塩基性岩脈に花崗岩ペグマタイトが貫入してエメラルドが生成された例が相次いで発見されました。
エチオピアの新らしいエメラルド鉱山はアフリカにも同様の産状のエメラルド産地の発見です。
冒頭の2個のルースは、標本級でしかありませんが、2段目右の 1.36 カラットのルースはコロンビア産の最上級品に匹敵する見事なものです。
もっともコロンビア産のエメラルドも冒頭の写真のような品質が大半なのです。
コロンビアでは、首都、ボゴタ市内の中心地の路上に、毎朝盗掘されたエメラルドの結晶やカットされたルースの取引市が開かれますが、そこで売られているエメラルドも殆どがこうした低品質です。
余りにもお粗末なので、もっと上等なエメラルドはないのかと尋ねたら、少し待てと、カフェに案内され、しばし待たされた後に見せられた色の濃い上質のエメラルド数個に1000ドルも支払って、後で調べたら、アメリカ、チャザムの合成品であったと判明しました。
この出来事を契機に宝石コレクションと宝石学の道に入ってしまった次第。
結晶標本の写真は Mindata に掲載されてい十枚から選んだ、とりわけ美しい結晶で、コロンビアやザンビア、ブラジル等の有力鉱山産のものと比べても引けを取らない品質です。
このような内包物が多い結晶から、何とか、ましな部分を取り出してカットされるのがエメラルドですから、1カラットを超える透明度が高く、濃い色合いのルースが途方もない高価となるのも、已むを得ません。
とりわけ、品質にこだわる日本の宝石市場には、世界の産地の最上級のエメラルドが並んでいますが、ハリー・ウィンストン、ティファニー、パリのグランメゾンと呼ばれる超一流の宝石店はともかく、一般の宝石店にある
宝飾品に使われているエメラルドの多くは、内包物が多く、淡い色合いのものが殆どなのです。