新着宝石展示室
( New Gemstone Gallery)


February 2015 : 柘榴石( Garnets )



ガーネットの指輪 (Garnet Ring)

   このリングは30年以上昔、フロリダにあるディズニー・ワールドで買ったもの。
 白雪姫の映画に出てくるお城の1階のお土産点で色とりどりのガラスの指輪に混じって1点だけくすんだ色合いの、どう見てもガラスではなく本物の宝石見えるリングが1点ありました。
 10ドル均一ですから、何なのか確かめるために入手しました。 
屈折率を測ってみると 1.738 とパイロープかグロシュラー・ガーネットですが、色合いからは、おそらくタンザニア産のアルマンダイン成分を含むロードライトかと思われます。
 リングには K14 と刻印があり、これはアメリカでは一般的な宝飾品の金の品位です。
 思うに、タイのお土産用と宝飾用とを一緒に作っている工場で混入したものでしょう。
 アメリカのデパートやドラッグ・ストアではペリドットやブルー・トパーズ、ガーネット、アイオライト等のリング、イヤリング、ネックレスの3点セットが$199.95、$299.95 といった手頃な値段で大量に売られています。
8.1x6.1mm
タンザニアのアレクサンドライト型ガーネット (Tanzanian Alexandrite type garnet)

    タンザニア産のアレクサンドライト型ガーネットとして入手しました。
 確かに白熱光では濃い橙色になりますが、普通の宝石も白熱光では濃く鮮明な色を示しますから特に色変わりを謳うほどの品質ではありません。
 ただしチェルシー・フィルターではうっすらと赤みを帯びて見えますから微量のクロムを含むアレクサンドライト型のガーネットには違いありません。
 屈折率が 1.798 と高く、パイロープ・スペッサータインです。
自然光 (Daylight) 白熱光 (Incandescen light)
1.04ct 7.6x5.5mm

タンザニアのツァヴォライト (Tanzainan Tsavorite)


    タンザニア産の主にヴァナジウム発色のグロシュラー・ガーネットは一般にツァヴォライトと呼ばれます。
 濃い緑の色合いが最も高く評価されますが、最近は淡い色合いでも鮮明な発色を示すため、ミント・ガーネットとして普通の淡緑色のグロシュラーよりはかなり高価な水準で取引されるようになっています。 
 透明度が高く爽やかな煌めきを見せるこのルースも本来なら結構な値段になる筈ですが、実は肉眼でも、また、こうして拡大しても分かり難いのですがガードル(周囲)の下部に1mm程度のチップ(欠け)があります。
 宝飾品として加工してしまえば全く目立ちませんが、しかし単体のルースとしては捨て値に近い値段になってしまいます。
 ペア・カットで重さの割に大きく見えますから、コレクションとしてなら、なおさら好都合です。 
 屈折率は 1.752
1.57ct 10.0x5.8mm
 
マリのグランダイト (Mali Grandite)


 マリのアンドラダイトとして入手しました。 
褐色を帯びた色合いからは、確かにアンドラダイトと思われますが、
屈折率が 1.743 と、殆んどグロシュラー・ガーネットの値です。
 何故こんな褐色を帯びた色になるのか不思議です。
 おそらく微量の鉄とチタンによる吸収かと思われます。
色合いだけでは判別が不可能と言う、ガーネットという宝石の
不思議さを改めて思い知らされました。
 

 
1.04ct 5.4x5.4mm
                
      
イランのデマントイド (Iran Demantoid)


0.24ct  Ø3.6mm 15mm 4.5cm
Belqeys Mtn. Takab,
West Azerbaijan Province
Iran

 
 2001年半ばにイラン東南部のケルマーン州、ジロ−フトの南 150km にある村、Soghan と Bagn Borsch との中間地点でデマントイドが発見され、かなり大規模な採掘が継続して行われています。
 時折 1cm、最大では3cmもの12面体の端正な姿の、しかし殆んど黒に近い濃緑色の不透明な結晶が市場に姿を見せます。
  最大では1カラットのルースが得られましたが、写真を見る限りでは大量の包有物を含み、透明度に欠ける標本質の水準です。 
 今回ようやく入手した 0.24カラットのルースも、やはり透明度は全くありません。
 屈折率は 1.882 と高く、明らかに高濃度のクロムを含むデマントイドです。

 2010年ごろから、ほぼ同じ色合いと品質の、最大では7cmにも達するデマントイドの結晶マトリクスがイラン北東部、西アゼルバイジャン地方、Belqey山 Takab  にて発見されました。


奈良、天川村、川追鉱山のアンドラダイト (Andradite from Kohse Mine, Tenawa-Village, Nara, Japan) 

   近年レインボー・ガーネットで世界に名を馳せた川追鉱山ですが、昔から飴色のアンドラダイトの結晶は有名でした。 
 亜透明の結晶を手にとっては宝石ルースがカットが出来そうだと、常々思っていましたが、ようやくルースに出会いました。
 0.39カラットと小さいのですが、結晶の大きさからは、これが限度でしょう。
 小さいながら、内部に亀裂も無く、透明度の高い美しいルースです。 
 良くぞカットしてくれたものと感謝するのみ。

 
0.39ct 3.9x3.7mm Andradite Matrix 40x30mm
奈良県 天川村 川追鉱山 (Kohse Mine, Nara, Japan)
  
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