新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)
February 2020 : 蛍石(Fluorites)
1.51 - 4.70ct |
モロッコの蛍石(Morocco Fluorite
モロッコは多彩な色合いの蛍石を産しますが、今回入手した色合いは とりわけ、目の覚めるような鮮明な青い色が印象に残ります。 蛍石の発色は、含まれるランタノイド系の希元素によるものです。 青い色は主に三価のイットリウムと弗素の欠落分を補う二つの電子との 作用による吸収での発色と、1978年に解明されました。 青い色の蛍石は珍しくはありませんが、しかし、1cm程の大きさにカット されて、これほどに鮮明な色合いを示す例に出会ったのは初めてです。 透明度の高い、濃紺の結晶をカットしたものでしょう。 モース硬度が低く、劈開性が強い蛍石を完璧なまでにカットした技術も大したもの。 |
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4.44ct Ø10.8x6.9mm |
パキスタンの蛍石(Pakistan Fluorites)
パキスタンの蛍石は淡緑色やピンク等、パステルカラーの美しいものが多いのですが、 これは全く無色の稀な標本です。 写真では灰色や黒の影が写っていますが、これは無色透明な石を、とりわけラウンド・カット されたルースの撮影時には避けられない現象です。 肉眼では全く透明に見えるのに写真ではなぜこうなるのか、不思議です。 |
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1.63ct Ø7.6mm | 1.51ct Ø7.5mm |
イリノイ州の蛍石(Illinois Fluorites)
4.70ct 11.2x8.7x6.8mm | 2.36ct 9.1x9.0x5.3mm | 1.64ct 8.0x6.0x4.6mm | 1.51ct 9.8x6.3x4.6mm |
これらのイリノイ州産の蛍石も完全に無色透明な、まさにウォーター・クリアーと呼べる蛍石です。
無色の蛍石は世界的に稀な存在で、膨大な蛍石を産したイリノイ州でも滅多には見かけられません。
というより、30年余りコレクションを続けてきて、イリノイ州産の無色の蛍石のルースに出会ったのは初めてです。