新着宝石展示室 (New Gmstone Gallery)


February 2021 : スピネル (Spinels)


 
スピネル(Spinels) 0.53 - 2.81ct 
 

スリランカのスピネル (Spinels from Srilanka)
        長年、知名度が低く人気薄だったスピネルが、この10年余り、ようやくにして一部の愛好家の注目するところとなり、近年では恐ろしい程価格が高騰しています。
 スリランカ産の二つのスピネルは5年前に、まとめて入手したまま、古いストックと共にしまわれていて最近ようやくこんなのがあったと気付きました。
 どちらも1500円と、今では信じられないような値段でしたが、一昔前は、こんな水準だったのです。
 濃紺のスピネルは強い光を当てないと見映えがしませんが、2.81カラットは、スピネルとしては異例の大きさです。
 ピンクはパパラチア・カラーとして出品されていました。 実際はただのピンクスピネルですが、しかし美しい色合いには違いありません。
 2.81ct 11.5x7.3x5.0mm  0.94ct 6.5x4.8x3.9mm  

モゴクのスピネル (Spinels from Mogok, Burma)
  コバルト拡散処理のスピネル 
       
 1.89ct 7.1x6.6x5.0mm  2.17ct 9.0x7.3mm  1.85ct 8.2x6.3mm  0.98ct 5.9mm
  1.89カラットのスピネルも、パパラチア・カラー・スピネルとして出ていましたが、これは橙色味が強いピンクで、確かにパパラチア・サファイアとそっくりですが、念のため屈折率を測ると、1.745と紛れもなくスピネルでした。
 この色合いのスピネルは最も人気が高いもので、今ではカラット当たり200~500ドルという水準になっています。
もちろん、そんな水準ではなく、たったの3000円とごく普通の値段でしたが、今でもじっくりと構えていれば、掘り出し物に出会う機会はあるのです。
 鮮烈な青い色のスピネルは、モゴク産とあったので、確かめもせず入札したら、説明に拡散処理とあるのに気付きました。
 ともあれ、かつてヴェトナムから産した極めて稀なコバルト・スピネルを忍ばせる色合いであり、ヴェトナム産を市場で見る機会は殆どありませんから、何時の日か出会うかもしれない天然のコバルト・スピネルと比較するためにも、参考までに落札したものです。 
 ただし拡散処理が未熟で、色むらがあったり透明度に欠ける等、あくまでも参考にしかならない標本級です。 

マダガスカルのスピネル (Malagasy Spinel)
       マダガスカルはスピネルを産しますが、殆ど資料にも見かけないほど少なく、かつては南部の350㎞にも及ぶBetroka-Beraketa花崗岩ースカルン帯から宝石質ではないが24㎝もの巨大なスピネルの単結晶が採れた記録があるのみでした。
 この標本はイタリアのピサ郊外にて ”Virgo” 重力波検出プロジェクトを率いた物理学者のアダルベルト・ジャゾット氏の世界的な鉱物結晶コレクションに収まっています。
 20世紀末に発見された島の南西部、数万平方キロメートルに及ぶイラカカ川流域の漂砂鉱床から、ようやく様々な色の宝石質のスピネルが採れるようになりました。 しかし数は少なく、これまでにたった1個の紫色のルースを入手したのみでした。
 今回ようやくにして2個目に遭遇しました。
0.53カラットと小さく、内包物が多い標本級でしかありませんが美しいピンクのスピネルです。
 0.53ct 5.7x4.0x2.8mm  


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