新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)
January 2009 : トルマリン
(Tourmalines) ??
0.92 - 4.05ct |
トルマリン、ジルコン、ガーネット、スピネル等のルースを写真から区別するのは困難です。
冒頭の写真の2列目、右から2番目の茶色の石以外は全てトルマリンとしてネットのオークションに出ていたルースです。
ネット上の写真は焦点が甘くボケていたり、妙な照明が写りこんでいたりとお粗末な水準でした。
が、その写真をしても、どうにもトルマリンとは考えられないような色合いのルースが多く、入手して調べてみました。
結果は下記の通り、トルマリンは僅かに2個、他の石はジルコンとガーネットと判明しました。
It is hardly identifiable between tourmalines, zircons, garnets and spinels through photograph. Stones of top photogarph were presented on network auction as tourmalines except brownish stone, 2nd line from right. Almost all pictures were out of focus with strong reflections of illumination. Because most of stones did not seem to be troumalines despite bad images, I got stones of auction, partly from curiosity and partly from their attractive colors. Two stones were identified as tourmalines and others were zircons and garnets.
トルマリン(Tourmaline)
アフリカという他に詳細な産地は不明ですが、紫色の石はエルバイト・トルマリン、褐色の石はドラヴァイトでしょう。
産地はモザンビークかタンザニアと思われます。
Localities were simply described as Africa. Purple stone us elbaite and brown stone is dravite. Great probably, they are from Mozambique or Tanzania.0.92ct 7.1x5.0mm 1.78ct 9.3x7.5mm
ジルコン(Zircon)
2,70ct 9.3x6.8mm | 3.10ct 8.7x7.1mm | 4.05ct 10.7x7.0mm |
左の石は写真では全く見当がつかなかったものですが、屈折率からジルコンと判明しました。
残りの二つはボケボケの写真からも切子の線が二重に写って見える強い副屈折と光沢からジルコンの可能性が強かったのですが、実物を見ただけで間違いなくジルコンと判明。
念のため調べた屈折率もジルコンそのものでした。
Brownish orange stone in the left was difficult to identify it only through photograph, but high refractive index revealed it as Zircon. Two other stones showed strong birefringence and brilliancy even through pictures with out of focus and observation on actual one inmediately reveaded them as Zircon.
ガーネット(Garnet)
ヘソナイト(Hessonite) 1.78ct 8.5x5.7mm |
1.89ct 9.0x6.2mm | 1.93ct 8.4x6.2mm | 0.92ct 7.1x5.0mm | 1.45ct 10.5x5.5mm |
Pyrope-Almandine-Spessartine : Malaia Garnet) | Pyrope-almandine(Rhodolite) |
最初のオレンジの石はスリランカ産のヘソナイトと表記してあり、実際ヘソナイトそのものでした。
残りの4つはトルマリンとありました。
ピンク・トルマリンの可能性は無きにしも非ずですが、しかしややオレンジを帯びた大変美しいピンクで、こんな色合いのトルマリンは見たことがありません。
前述の石も含めていずれもカラット当たり数百円〜1千円と格安でしたから,駄目もとで入手して調べてみました結果、ガーネットと判明しました。
パイロープーアルマンダイン系と思われます。
即ちロードライトですが、しかし単純なロードライトではありません。
とりわけ1.89ctと1.93ctの2個の石はマライア・ガーネットのような色合いの大変美しいものです。
スリランカでもロードライトは採れますが、マライア・ガーネットのような色合いからタンザニア産と考えられます。
First orange color stone is hessonite garnet itself, as correctly described at auction sight.
All other four stones were presented as tourmalines. However their extremely attractive color of orangish pink were suggested that they are not tourmalines. Because all stones were offered as low as US$2.00 to 10.00 per carat and I did not hesitate to tender for them and they were found as pyrope-almandine garnet. 1.89 and 1.93ct stones are not simple rhodolite but seems to be malaia type for their color. Therefor, they seems to have come from Tanzania, rather than Srilanka.
屈折率計と反射率計 (Instruments to measure the refractivity and the reflectivity)
Spinel (1.718) |
Tourmaline (1.624-1.644) |
沃化メチレン液 | |||
屈折率計(Refractometer) | 屈折率の表示(Reading) | (Metylene Iodide) | GEMETER Digital 90 Reflectivity meter | PRESIDIUM Reflectivity Meter |
宝石の識別は、色合いや光沢等でもある程度見当はつきますが、似たような石の識別には屈折率と比重を計って正確な数値が必要です。
が、正確な比重値を得るためには上皿化学天秤と4℃の水を用意して慎重に何度も量って平均値を出す必要があり、手間がかかります。
一方屈折率(反射率)の測定はより手軽に行えます。
写真は私の手持ちの機器ですが、それぞれ一長一短があり、その特徴をわきまえて使わねばなりません。
いずれの機器を使う場合にも、正確な値を読むためには宝石と結晶の平坦な面を清潔に保たねばなりません。
I used reflectivity meter to identify these stones, as the simplest way to identify them.
1.屈折率計 宝石中を透過した光の影がスケール上に落ちた点の数値を読み、屈折率の値を読み取る光学機器です
濃い影が屈折率を、薄い陰が負屈折を示します。GIA
DUPLEX U
Refractometer最も正確に屈折率と副屈折とを読むことが出来ますが、次のような難点があります ;
波長589nmのナトリウムランプ光源が必要(黄色のセロファン紙等の透過光で代用可能)
高価で有毒かつ揮発性が高い沃化メチレン溶液が必要(入手が困難な消耗品)
測定のたびに宝石と屈折率計から沃化メチレン液をふき取る必要がある。
屈折率が1.81以上の宝石の値の読み取りが不可能。即ちダイアモンドと類似品の識別が不可能2.反射率計 赤外線レーザー光による宝石の反射率を読み,屈折率に換算した値を示す。
誤差はあるが、ダイアモンドと類似品を含め全ての宝石の屈折率を読めるのが特徴。Digital 90 最大2.999まで直接屈折率に換算した表記が可能。即ち全ての宝石の屈折率を直接読み取れる。
が、例えばストロンチウム・チタナイトのような特定の宝石の屈折率を正しく表示できない場合がある。
測定誤差が前述の屈折率計より大きい。副屈折の測定が困難等の難点がある。PRESIDIUM
読みの数値は換算表で照合する方法ですが、表示の値が粗く、誤差が大きい。
サファイアとスピネル等、近似の値の宝石との識別が数値からでは判断できない。
以上のようにそれぞれ一長一短があります。Digital 90が最も使いやすいのですが、メーカーが倒産してしまいました。
15年余り使った私の機器も寿命でほぼ使用不能です。
正常ならば写真のようにペリドットの屈折率を正しく表示します。
止むを得ず余り信頼できない PPRESIDIUM を取り出しました。
ペリドットの場合は033と表示し、換算表の測定誤差の範囲内です。
今回のトルマリンとガーネット、ジルコンの識別にはとりあえず役に立ちました。
I have been using Digital 90 for more than 15 years to check the refractive index, as the most convenient instrument, which is now out of order and there are no way to repair it nor purchase the new one due to bankruptcy of the manufacturer.
Therefore, I tried to use another reflectivity meter, PRESIDIUM, which displays some figures to be compared with the chart to estimate the stone. Although PRESIDIUM does not display the direct reading of refractive index, at least it worked to successfully identify tourmalines, garnets and zircons.
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