新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)
January 2025 : 合成アレクサンドライト、合成クリソベリルと天然キャッツアイ・アレクサンドライト
(Kyocera Synthetic Alexandrite, Chrisoberyl and Natural Alexandrite Cat's Eye)
自然光 (Daylight) | 白熱光 ( Incandescent light) | 自然光 (Daylight) | 白熱光 (Incandescent light) | |
2.88ct 8.5x7.5x5.3mm | 4.0ct 8.27x7.74x6.94mm | |||
京セラ合成アレクサンドライト (Kyocera Synthetic Alexandright) |
アレクサンドライト・キャッツアイ (Alexandright Cat's Eye) Brazil ??? |
京セラ合成クリソベリル (Kyocera Synthetic Chrisoberyl) 1.02ct 7.10x5.07x3.07mm |
京セラ製アレクサンドライト (Kyocera Alexandrite)
合成アレクサンドライトは、かつては日本とアメリカの数多くの企業が商品化していましたが、大半は倒産、廃業となり、現在、市場に姿を見せるのはロシア製のチョクラルスキー法によるものと、ロシアがタイとの合弁事業でフラックス法で生産しているもの、さらに京セラがチョクラルスキー法で生産しているものとに限られます。
ロシア製、あるいはロシア - タイ合弁の合成アレクサンドライトは内包物の多い結晶もカットして出荷するため合成コランダム並みの手頃な値段で流通しています。
一方、京セラ製のアレクサンドライトは宝飾品用に選別された結晶の無傷の部分のみを入念なカットをした最上級のルースのみを出荷するので人気が高く、かなりの高値で取引されています。
京セラ製は30年以上昔にツーソン・ショーにて入手した1カラットの小さなルースがあるだけだったので、もう少し大きなものをコレクションに加えたいと思っていたのですが、オークションでの競争は激烈を極め、相当な高値となってしまい、入手を断念していました。
今回、2.88カラットとかなりの大きさで、カットも申し分ないルースですが、殆ど応札がなく、妥当な水準で落札できました。
京セラ合成クリソベリル (Kyocera Synthetic Chrisoberyl)
京セラが合成クリソベリルをチョクラルスキー法で合成し商品化したのは30年以上昔のことです。
青緑色に加えて3価のチタンによる、天然にはないピンクの変種も試作しましたが、いずれも市場に出ることは殆どありませんでした。
クリソベリルはアレクサンドライト型やキャッツアイ程知名度が高くなく、一般に人気がある宝石ではありませんから、アレクサンドライトの合成を試みるついでに、同じ鉱物結晶であるクリソベリルを試験的に合成してみたということでしょう。
同じころ、ロシアも試験的にクリソベリルを合成しましたが、市場で見かける機会は皆無でした。
したがって、思いもかけずネット市場で合成クリソベリルを見かけたのは嬉しい驚きでした。
30年昔に入手したコレクターの放出品だった様です。
天然アレクサンドライト・キャッツアイ (Natural Alexandrite Cat's Eye)
これは単にクリソベリルとしてネット市場に出品されていました。
透明度は高いのですが、少し形がいびつなため、競争もなく、カラットあたり1000円と、ただみたいな値段で落札したものです。
写真撮影のために光を当てると、赤みを帯び、うっすらと光の筋が現れるので、これはアレクサンドライト・キャッツアイであると判明しました。
産地が明記されていなかったのですが、自然光では透明な緑なので、まずブラジル産と推定しています。
スリランカ産のクリソベリルにはかなりの量の鉄が不純物として含まれるため、褐色味が強く、宝石としての魅力が損なわれる例が多いのです。
したがって、今回、思いもかけずブラジルの恐らくはエマチータ産の4カラットものアレクサンドライト・キャッツアイを入手出来たような次第です。