新着宝石展示室
( New gemstone gallery )
June 2015
キュービック・ジルコニア
(Cubic Zirconia)
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キュービック・ジルコニア (Cubic
Zirconia) 13ct-345ct |
本来は光学機器用の素子として開発されたキュービック・ジルコニアですが、現在は大半がダイアモンドやその他の宝石のイミテーションとして、年間10億カラットを超える量が生産されています。
見た目も光学特性もダイアモンドにそっくりなので、カットされたルースが1カラッ100円とガラス並みの値段で市販されています。
しかし、100カラットを超える完全無欠なルースがとれる大きな結晶をスカルメルト法で合成するのは至難の業です。
大気中で3000℃もの高温で酸化ジルコニウムを溶融するため、気泡が入りやすく、更に冷却時に罅や亀裂が入ってしまうためです。 が、最近では結晶技術が格段に進歩したようです。
1000カラットのルースでさえもネット・オークションではありますが、カラット当り10円〜30円程度で入手できる時代です。
そんな値段では商売にならないのではないかと心配してしまうほどです。
冒頭の写真は冗談かと思うような大きく美しいルースです。
12個合計で、1600カラットと、世界的な宝石商、 ハリー・ウィンストンのダイアモンドやルビー、サファイアのコレクションに匹敵する大きく、完全無欠なルースです。
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345ct 36x36mm |
Red Cross Diamond
205.07ct |
205ct
36x29x15mm |
207ct
35x30x17mm |
最大の345カラットの金色のルースは、隣の レッド・クロス・ダイアモンド、205.07カラットのレプリカです。
これはもう10年ほど昔に、かなりの値段で入手したもので、比較のために展示しました。
レッド・クロス・ダイアモンドは日本人のコレクターの所有物です。
日本にもこんなすごいダイアモンドコレクターがいるのですね。
207カラットの赤いルースは下の178カラットの橙色のルースと共にテーブル面が円錐状に盛り上がる特異なカットが
施されています。
オークションの出品業者に尋ねたところ、このようなデザインはインドで花嫁衣装の帯止め用に人気があるのだそうです。
そういえばインドのマハラージャは本物の巨大なダイアモンドやサファイア等を帯止めに使っていたものです。
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108ct
27x23x14mm |
100ct
27x22x13mm |
178ct
32x26x18mm |
102ct
28x23x11mm |
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85ct
25x20x13mm |
28ct 20x15mm |
135ct
35x25x15mm |
99ct
27x22x13mm |
13.3ct
17x11mm |
写真では充分に輝きをとらえることが出来ませんが、高い屈折率とダイアモンドを凌ぐ分散値を持つキュービック・ジルコニアは反射と屈折による眩い光の饗宴が美しく、撮影していてまことに楽しい宝石です。
85カラットと28カラットの黄色のルースは光の加減で緑色の蛍光を発します。恐らく発色に使われている希土類元素に因る蛍光と思われます。
13.3カラットのペア・カットのルースはダイアモンドであれば ”D−FL” の最上の色と品質に格付けされるほどのものです。
キュービック・ジルコニアが究極のダイアモンド・イミテーションと呼ばれる所以です。