新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)


June 2022 : 灰曹長石サンストーン (Oligoclase Sunstone)


 
2.77ct           1.225ct            2.75ct 

 サンストーンとは、長石族の結晶内部に赤鉄鉱や時に銅の薄片を含み、きらきらと反射して美しく、宝飾用として用いられるものです。
 今回入手したのはタンザニアとケニア国境とのエンガレ・ナイボール (Engare Naibor) 丘陵地帯に2000年代初頭に発見された、ヘマタイト(赤鉄鉱)薄片を含む灰曹長石(Oligoclase) サンストーンです。
 宝石質の結晶が稀にしか発見されない灰曹長石ですが、タンザニアとケニアからは淡青、淡緑色のファセット可能な結晶や、宝飾用に使えるサンストーンが発見されます。
 エンガレ・ナイボールでは数平方km に広がる雲母片岩を含むドロマイト層からヘマタイト片に富むオリゴクレース団塊が発見されます。
 土地の村人が手作業で4~5mの深い竪穴を掘って採掘していますから、生産量は少なく、サンストーンのルースがネット市場に姿を見せるのは年に数回程度です。
     
2.77ct 8.0x7.8x6.5mm 
  微細な赤鉄鉱薄片を大量に含む為、亜透明となっていますが、照明に反射して金色に見えます。
赤褐色の赤鉄鉱を含むルースが金色に見えるのは次のような理由によります ;
 大量の赤鉄鉱に含まれる自由電子に光が当たると電位の低い方と高い方とに電気分極が起こり、外から入ってくる光の電界が遮蔽され、光は全て反射されます。
 さらに光を浴びた自由電子から大量の光子が放射されて眩く煌めきます。
電気分極を起こした赤鉄鉱の自由電子は重い為、光の振動電界に追従できず、振動周波数が黄色にシフトしますが、大量に放射される光子の働きで金色に煌めくということなのだそうです。
       
1.225ct 6.6x6.4x4.0mm  結晶 2.75ct 12.0x9.7x4.7mm 
  こちらはかなり大きな赤鉄鉱の結晶片が透明な灰曹長石に入っているサンストーンです。
赤鉄鉱結晶片の表面に光の可視周波数相当の凹凸があるため、微妙な角度の違いで虹色の光の反射が起こっています。
 右はオマケにいただいた結晶片です。カットされたルースと合わせて貴重な標本です。


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