新着宝石展示室
June 2025 : マダガスカルのスフェーン(Malagasy Sphenes)
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緑色のスフェーン Madagascar |
マダガスカルの緑色のスフェーン
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2.65ct 8.6x6.8x5.2mm | 3.24ct 10.9x8.8x5.1mm | 1.03ct 7.2x5.7x3.6mm |
スフェーンはかつてはギリシア語で楔(くさび : sphenos ) に似た結晶形に因んで、楔石、或いはチタンとカルシウムの珪酸塩という成分からチタナイト(Titanite) と呼ばれ、一般には馴染みの少ない、もっぱらコレクター用にカットされていた稀少な宝石でした。
が、近年はダイアモンドを凌ぐ高い光の分散効果により眩い虹色の光を放つ宝石として、一般の宝石店で見かけることも珍しくはなくなりました。
とりわけ1990年代末頃から、マダガスカルのアルプス型山岳性熱水鉱床からは大きく透明度が高い、金色や緑色を帯びた結晶がかなりの量、安定して供給されるようになりました。
ごく稀にしか無い10カラットを超える透明で眩い光を放つスフェーンを使った豪華な宝飾品は数十万円を超える値段となりますが、同じ価格水準のダイアモンド、ルビー、サファイア等と比べると圧倒的な存在感を示すため、人気が出てきたのも当然でしょう。
今回、新たに入手したのは緑色を帯びたスフェーンです。
スフェーンは褐色、黄色、金色、緑色と、多彩な色合いがを見せますが、いずれも鉄イオンによる発色です。
含まれる鉄のイオンが多いと緑の発色が強くなりますが、最近マダガスカルから数多く姿を見せる濃い緑色のスフェーンは微量のクロムが含まれ、従来のとは異なる、美しい緑を示すため人気があり、かなり高価で取引されています。