新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)

2017 June : 燐灰石(Apatites)


ブラジル、スリランカ、タンザニアとマダガスカルの燐灰石 0.86-4.72ct
(Apatites from Brazil, Srilanka, Tanzania and Madagascar)

 スリランカの燐灰石(Srilankan Apatite))


      スリランカ産の燐灰石は極めて稀な存在です。
 ほとんどの宝石が漂砂鉱床に産するスリランカでは、燐灰石のように硬度が低く、劈開性の高い結晶は、何億年も川床を流されているうちに粉々に砕け散ってしまうためです。
 これまでスリランカ産の燐灰石に出会ったのはたった一度だけ、30年余り昔。ツーソンで稀少宝石専門の業者が持っていたものでした。
 今回入手したのは、燐灰石としても稀に見る大きく透明度の高いルースですが、それがスリランカ産であることが重要です。
 このルースは、粉砕されることなく、残された大きな結晶の塊の中から透明な部分がカットされたと思われます。
 内部に微細な結晶片を含み、光にきらきらと反射しますが、おそらく燐灰石の平板な結晶が含まれているものと思われます。
 4.72ct 11.8x9.2mm  
、                   

ブラジルの燐灰石(Brazilian Apatite)

     ブラジルの燐灰石は珍しいものではありませんが、しかしこの 青紫色は燐灰石としては滅多に見られない色合いです。
 この色の燐灰石は、稀にパキスタン、アフガニスタン、アメリカ東海岸、メイン州のペグマタイト地帯とナミビアとに産しますが、いずれもひどく亀裂が多く、到底カットできるような結晶ではなく、珍しい色合いの結晶標本として人気があります。
 ブラジルで、このような色合いの燐灰石はかつてパライバ州産を見かけたことがあるのみです。
 今回、詳細な産地は不明ながらブラジル産のルースをようやく入手しました。
  
 2.80ct 9.2x7.7mm  

 マダガスカルの燐灰石 (Malagasy Apatites)

  この10年来、マダガスカルから輝かしいネオン・ブルーのアパタイトが出現しました。
 パライバ・トルマリンを偲ばせる色合いで人気がありますが、燐灰石特有の内部に傷や亀裂を含むものが大半です。
 五角形のこのルースは大きく、ほぼ無傷の稀なる例です。
 3角形のルースは傷が多く透明度に欠けるために カボションカットに仕上げられていますが、色合いはまさに輝かしいパライバ・トルマリンです。
1.89ct 9.0x6.4mm 1.75ct 7.8㎜

  タンザニアの燐灰石 (Tanzanian Apatite)

 タンザニアには10ヵ所ほどの燐灰石産地が報告されていますが、宝石質の燐灰石は主にタンザナイトやツァヴォライトで名高い、メレラニ丘陵の特に Lelatema山から素晴らしくきれいな緑柱石の様な6角の柱状結晶を産します。
 一見地味な色合いのこのルースはしかし光にかざすと緑に金や淡い橙がきらきらと反射して、魅力的な色彩を帯びます。
 青緑色のラウンド・カットの石は小さいながら燐灰石としては素晴らしく透明度が高い美しいものです。
 
2.10ct 7.8x7.6mm 0.86ct Ø5.8mm
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