新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)


 June  2019    :  アレクサンドライトとクリソベリル (Alexandrite & Chrysoberyl)   


 自然光 (Daylight)  白熱光 (Incandescent light)
   
アレクサンドライトとクリソベリル 0.34ct - 3.96ct 


 スリランカのクリソベリルとアレクサンドライト (Chrysoberyl and Alexandrites from Srilanka)
   自然光 白熱光  自然光  白熱光 
         
 クリソベリル(Crysoberyl) 0.37ct 5x4x2.3mm アレクサンドライト(Alexandrite)  1.68ct 7.8x7.0x6.5mm アレクサンドライト・キャッツアイ(Aleandrite Cats'Eye) 3.96ct Ø8.6x5.8mm

 クリソベリルは本来は無色ですが、天然の結晶の殆どには不純物の三価の鉄イオンが含まれ、黄色味を帯びています。
とりわけスリランカ産のクリソベリルは不純物の鉄の含有量が多いので、褐色味が強いものが多いのですが、稀に殆ど純粋成分の、無色のものがあります。 今回入手した無色のルースは小さく、テーブル面に目立つ内包物がありますが、何しろ30年余りコレクションをしていて、ようやく2度目に出会った貴重な標本です。
 クリソベリルが不純物としてクロムを含むと、太陽光と、白熱光とで緑と赤との色変わりを示すアレクサンドライトとなります。
スリランカ産のアレクサンドライトは一般に鉄分も含んでいるので、太陽光下で褐色味を帯びるものが大半です。
 今回入手したものは、スリランカ産に限らず、他の産地のそれと比較しても初めて見る、緑青の発色のアレクサンドライトです。
屈折率等から、これが紛れもなくアレクサンドライトであることには違いありませんが、稀なる色のアレクサンドライトです。
 3.96カラットのキャッツ・アイはクリソベリルとして入手したものですが、写真撮影時に白熱光に反応して赤く変色するので、アレクサンドライトであると判明しました。 クリソベリルとしても、これだけの大きさのものは持っていなかったのですが、アレクサンドライト・キャッツアイとなると滅多にない大きさの標本です。

タンザニアのアレクサンドライト(Tanzanian Alexandrites )
 自然光 白熱光 
   
Pear cut : 0.34ct 5.8x4.0x2.2mm   Oval cut : 0.51ct 5.05x4.90x3.0mm 
  宝石質のアレクサンドライトの産地は、今日ではブラジル、スリランカが大半を占め、その他にインド、タンザニア、マダガスカル産が極く稀に市場に登場します。
 タンザニアは1980年代初頭にマニヤラ湖のエメラルド鉱山からアレクサンドライトが発見され、当時は2~3カラットと、なかなかの大きさの、やや色は淡いのですが、透明度の高いルースが市場に姿を見せていました。 しかし、その後姿を消し、最近になって、1カラット未満の小さなルースが散発的に姿を見せ始めました。
 余りにも小さく、ブラジルのエマチータ産のような劇的な色変わりを見せないため、宝飾品市場ではなく、もっぱら標本市場にのみカラット当たり1万円にもならない手ごろな価格です。

クリソベリル (Chrysoberyl)
 
     これはごくありふれたクリソベリルです。
御徒町の宝石業者が1,301円という中途半端な値段でオークションに出品していたものですが、誰も応札がなくそのまま落札したものです。
 ヘリオドール等、似た色合いの他の宝石の可能性もあるので念のため屈折率を調べましたが、1.753 と紛れもなくクリソベリルの値を示しました。
 知名度の低い、地味な宝石のクリソベリルが使われることは少ないのですが、おそらく、昔作られた宝飾品が還流品として宝石業者の手に渡り、高騰した金の枠の部分だけで十分利ザヤが稼げたので、ルースのみが捨て値でオークションに出品されたのではないかと想像しています。
 宝飾品から外したものですから、当然産地は不明です。
ヴァナジウム発色の緑色のタンザニア産以外の、金色から黄色のクリソベリルの産地を特定することは出来ません。
 何処の産地であれ、これはなかなか美しいクリソベリルです。
  
 クリソベリル(Chrysoberyl) 1.98ct 9.84x6.53mm  


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