新着宝石展示室
( New Gemstone Gallery)


June 2023 : ラピスラズリ Lapislazuri)

   
ラピスラズリの箱 (95x75x37mm) と カボション 


   
 7.92ct
18.0x13.0mm
 18.75ct
17.6x14.6mm
 3.16ct
11.9x8.3mm
5.00ct
Ø11.8x4.2mm 
5.97ct 
13.7x7.6mm
 6.74ct
13.9x11.8mm
 2.73ct
11.0x8.3mm

 これは20年近く昔に東京の宝石フェアにてパキスタン商から入手したラピスラズリの箱と、さらに昔、ミュンヘンのフェアで入手したカボションです。
  箱は大理石に箱に、2㎜の厚さのラピスラズリの薄い板を底を除く全面に貼ったものですが、良く出来ていて蓋がぴたりと嵌まります。
 薄片とは言え、貴重なラピスラズリを割れないように薄く加工して大理石の内箱に合わせるのは熟練した職人の手になるものに違いありません。
 底に当時の値札が貼ってありますが、なんと3000円でした。
サーレ・サン鉱山のほぼ垂直の崖を何十メートルもよじ登って掘った巨大な坑道で採掘して、重い鉱石を担いで降り、さらに数百キロメートルもの山道や峠を上り下りし、恐らくはパキスタンのペシャワールまで運ばれて加工され、それから東京の宝石フェアまで運ばれるまでの労力と費用とを思うと、宝石の箱の値段は例え100倍の30万円としても妥当ではないかと思うほどです。
 この箱の例に限らず、アジアやアフリカ中南米等で宝石を掘っている鉱夫たちや、パキスタンやインドで加工している研磨工たちの手取りの収入は、、一日12時間以上働いても数百円程度でしかなく、日々の慎ましい生活費をやっと賄えるほどにしかならない水準でしかありません。
 一方、ミュンヘンのフェアで買ったカボションはカラット当たり 3~10 マルクでした。
例えば18.75カラットのカボションは確かに大きく深い色合いの絶品ではありますが、しかしこれだけで前述の箱が3個買えるほどの値段でした。
 恐らくフェアに出品していた業者は、仕入れ値の 3~5倍の値付けをしていたのだろうと思われます。
 宝石やルースに限らず、日用の普通の商品や、食品等も最終的な小売り業者の粗利益は、源流の素材の提供される価値と比べて遥かに大きなものになっています。
 これは小売業者が暴利を貪っているというわけではなく、世の中の仕組みがですから止むを得ないことです。


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