新着宝石展示室
(New gemstone gallery)
June 2024 : 琥珀 (Amber)
様々な色合いの琥珀のブレスレット |
一般に琥珀色と呼ばれる金、黄褐色、橙等の他に、現在では様々な処理をした多彩な色合いの琥珀が市場に出回っています ;
ビルマ産の赤い琥珀
ブレスレット 外径 19㎝ | ビーズ径 16㎜ |
世界の多様な琥珀の中で、ビルマ産の赤い琥珀はとりわけ有名なもので、装飾品や彫刻などに広範に使われています。
写真のブレスレットはビルマ産の赤い琥珀ということでアクセサリー・ショップのネット販売店から購入したものです。
しかし、これが本物のビルマの琥珀なのか、プラスチック製の模造品なのか、実は調べる術がありません。
琥珀は天然の樹脂ですが、プラスチックも人工の樹脂なので、比重や屈折率を比較しても大きな違いはありません。
専門家が高度な分析測定をして、材料を特定すればその正体は直ちに明らかになるでしょう。
余りにも透明度が高く均一の色合いで、内包物を全く含まない琥珀のブレスレットを3000円程度で売れるはずがないので、このブレスレットはまずプラスチック製の模造品に違いないと考えています。
しかし、大変美しい模造品なので、気軽に身に着けるにはうってつけの品でしょう。
リトアニア産・グリーンアンバー
ブレスレット外径 50㎜ | ビーズ長 最大 10㎜ |
世界で屈指の生産量を誇るバルト海沿岸の琥珀は、5000万年~3500万年昔の海岸近くの地下の地層に含まれていて、海が荒れると、地層から剝がされた琥珀塊が周辺の国の海岸に流れつきます。
ポーランド、ロシア等が最大の産地ですが、近年ではリトアニア産の琥珀が市場に大量に姿を見せています。
様々な色合いがある中で、2000年初頭に天然の琥珀を特殊な圧力釜で高圧と高温で処理することにより緑に発色させる技術が開発され、以後天然にはなかったペリドットのような美しい色合いのグリーン・アンバーが市場で人気を呼んでいます。
この緑の発色は、高温高圧の処理により、琥珀内部に生成された微細な雲状の罅による光の吸収で起こると考えられています。
写真のアンバーはグリーン・アンバーとして売られていましたが、やや淡い緑を帯びた黄色です。
実はすべての琥珀が加圧高温加工で鮮やかな緑に発色するわけではないようです。
鮮やかな緑に発色したグリーンアンバーの装飾品は数万円~数十万円の高値を呼ぶほどの人気商品です。
リトアニア産の草木染の緑の琥珀のブレスレット
ブレスレット外径 65㎜ | ビーズ長 5~6㎜ |
これは高圧高温処理ではなく草木染で鮮やかな緑色に発色したリトアニア産の琥珀です。
前述のように、全ての琥珀が鮮やかな緑色に発色するわけではないので、このような草木染処理が行われたのでしょう。
高値を呼ぶ高圧高温処理品と比べて、この草木染処理は遥かに手頃な価格です。
いずれも人為的な処理施されているものですが、手頃な価格で気軽に使えるのであれば、草木染でも十分と思えるほどの美しい色合いです。