新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)


March 2016 : コルネルップ石 (Kornerupine)

 
 1.19ct 8.12x5.15mm
Madagascar
1.40ct 8.33x5.20mm
Thailand ??? 

    
   

 典型的なコレクターストーンであるコーネルピンを見かける機会は滅多にありません。
スカルンやペグマタイト等の変成岩起源の鉱物ですが,硼酸基と珪酸基に鉄とマグネシウムとアルミニウムとが結びつき、さらに水酸基を含むといった複雑な化学組成を持つ鉱物が生成するような条件が揃う地質は世界広しと言えどもなかなかないのでしょう。
 マダガスカル、ケニア、タンザニア、ザンビア、スリランカ、インド、タジキスタン、ビルマ、フィンランド、ノルウェー、グリーンランド、ドイツ、アメリカのユタ州、ニューヨーク州、カナダのケベック州等、いずれもかつて激しい地殻変動を受けた世界の数十ケ所から報告されています。
 が、宝石質のコーネルピンを産するのはスリランカとケニア、タンザニア、マダガスカルのみです。
 かつては、スリランカの漂砂鉱床から水摩礫として発見される、鉄分の高い褐色味を帯びたルースが大半でしたが、この 10 年余り、タンザニア、ケニア、とマダガスカルから緑柱石のような淡緑や淡青な色合いのルースが登場して来ました。
 ただし、これらの産地からのルースは大半が 1 カラット以下の小さなものです。
 今回、マダガスカル産とタイ産 ??? のいずれもかなりの包有物を含みますが、1 カラット超のルースを入手しました。
 マダガスカル産はともかく、タイ産というのは大いに疑問です。 タイで、コーネルピンを産するような地質条件は考えられませんから、おそらく世界の何処かから仕入れた原石をタイでカットしたものでしょう。
 濃緑青色の色合いからすると、ケニア産かと思われます。 
褐色を帯びない濃い緑や青い色合いのコーネルピンを産するのはケニアのみというだけの根拠ですが、少なくともタイ産では決してなく、ケニア産の原石がタイでカットされたという可能性は大いにあり得るからです。

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