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March 2018 : トルマリン(Tourmalines)
世界のトルマリン 0.31 - 2.70ct |
トルマリンの主要な産出地が、近年はブラジルと並びモザンビークやナイジェリア等のアフリカが台頭し、多彩な色合いのルースが手ごろな価格で姿を見せるようになりました。
この半年ほどの間に増えたトルマリンを紹介します ;
モザンビークのトルマリン
2.25ctの緑色のトルマリンはパライバ型のトルマリンです。 中央宝石研究所のX線蛍光分析データでは銅が0.69%、マンガンが5.76% 含まれています。モザンビーク産のパライバトルマリンとしては透明度 が高いものですが、金色のルチル結晶と思われる包有物があり、左側の太 い結晶端がテーブル面を突き破って表面に出ています。 これでは宝飾品には使えないので、普通のトルマリン並みの手頃な値段でした。 緑色のモザンビーク産パライバトルマリンに出会うのは初めてでした。 ピンクのトルマリンはパパラチャ・カラーの謳い文句でしたが、実物は 単なるルベライトです。 |
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2.25ct 9.21x7.19x4.31mm | 1.12ct 8.2x5.3x3.8mm |
ナイジェリアのトルマリン(Nigerian Tourmalines)
1.93ct 12.5x4.5x3.3mm | 2.14ct 13.9x4.9x3.2mm | 0.41ct Ø4.5x3.1mm | 0.31ct Ø4.4x2.7mm | 1.62ct 7.2x3.2x4.5mm |
Ibadan area, Nigeria | Keffi, Nigeria |
近年とみに存在感を示すアフリカのトルマリンですが、ナイジェリアからは、とりわけ美しい色合いのトルマリンが続々と登場しています。
左の二つのバゲット・カットのルースは、いずれもイバダンと、珍しく詳細な産地が明記されていたものです。
実際の産地は少し北の Irorin 近くの Edeko と推定されます。
右の二つはその色合いから中央高地の Keffi 産と思われます。ここからは透明度が高く、爽やかなパステルカラー、世界でもっとも美しいトルマリンを産します。
アフガニスタンのトルマリン(Afghan Tourmaline)
アフガニスタンも世界的な美しいトルマリン結晶の産地ですが、一般に透明度に欠けるため、宝石ルースは滅多に市場に姿を見せません。
恐らく数少ない宝石質ルースは宝飾品市場に直接買い取られていると思われます。
これは希少なインディゴライトですが、テーブル面付近の亀裂が目立つため標本市場に回されたのでしょう。
傷こそありますが、アフガニスタン産としては大きく、透明度の高いルースです。2.70ct 8.20x6.94x5.05mm