新着宝石展示室
（New Gemstone Gallery）

May 2009　：　緑水晶（Green quartzs）

天然と合成の緑水晶(Natural and synthetic green quartzs) 0.60 - 9.78ct

ウルグアイ産緑水晶（Urguayan green quartz）

		天然の紫水晶を加熱処理した淡緑色の水晶がグリーンド・アメジストと呼ばれます。 　妙な呼び名ですが、しかしその素性を正しく表しているには違いありません。 　一般に紫水晶を450−500℃で加熱処理すると産地により黄色ー金色ー橙色の黄水晶に変わります。 　ブラジル・バイア州のモンテズマ鉱山産の紫水晶は650℃の高温で加熱すると淡緑色に変わり、一般にグリーンド･アメジストとして流通しています。 　その他にアフリカやウラル産の紫水晶にも加熱処理で淡緑色に変わるものがあり、プラシオライトの商業名で稀に市場に出ます。 　ウルグアイ産の紫水晶がプラシオライトになると言う情報はついぞ聞いたことがありませんが、可能性としては有り得ます。 　水晶の発色はいずれも数百分の1％程度の鉄の不純物が関与しています。四価の鉄が紫水晶に、三価の鉄が黄色に、そして二価の鉄が緑の発色を演出しています。 　加熱する温度や自然の放射線のエネルギー量により鉄イオンの荷電状態が変わるために多彩な発色が起きるわけです。 　ウルグアイ産の緑水晶はガンマ線照射処理によると、2010　April,　Lapidary Journal　の記事があります。 　淡緑色の水晶は大変地味な色合いでありますが、屈折率が低い割には、しかしきらきらと眩く煌いてなかなか魅力がある宝石です。
9.78ct 15.6x12.3mm

　There is a pale green quartz, called greened amethyst. This strange name self-explains that natural amethyst is heat treated to turn the color to pale green. In general, when amethyst is heated to 450 - 500℃, it turns to citrine of yellow-golden-orange colors, depending their origin of locallities. Amethyst from Montezma mine, Bahia, Brazil is know to turn pale green hwen heated. Some amethyst from Africa and Ural Mountains turns to pale green when heated, as well, and they are called "prasiolite". Though there are no official literature on Urguayan greened amethyst, it is not undeniable. Because, purple, yellow, golden, orange and pale green colors of quartz are related to iron impurity. Irradiation and heating changes the valence state of iron ion, resulting in various colorations. 2010 April Lapidary Journal describes that Uruguayan amethyst is an aritificially Gamma-treated one.
Despite relatively quiet color and low reflactive index, greened quartz glitters fabulously.

合成緑水晶（Synthetic green quartzs）

4.07ct 14.0x8.2mm		2.45ct 8.0x8.0mm
1.09ct 9.0x6.0mm	0.60ct 6.5x5.8mm	1.67ct ø8.0mm

　この緑色の水晶の産地は不明ですが、しかしほぼ間違いなくロシア産の合成と言ってよいでしょう。
日本やアメリカも世界で有数の合成水晶の生産国ですが、ほぼ100％が産業用途に回されます。
　美しいけれど手間ばかりかかって全く商売にならない色付水晶などをやっている余裕がないのが日米のメーカーの宿命です。
　一方、旧ソ連時代から軍事用に水晶の合成に情熱を傾け圧倒的な技術の蓄積があるロシアでは科学者達が余りある予算と才能と時間とを軍事とは全く関係のない宝石用の合成水晶の開発に転用し、ありとあらゆる色の合成水晶の量産技術を確立しました。
　まことに天晴れな心がけです。
　エメラルドのような魅力的な色合いの水晶は、0.01−0.1％と、天然のそれと比べると10倍から100倍も高い鉄分濃度を均等に拡散させる超絶的な結晶成長技術の賜物です。
　ただ鉄分を増やしても色むらや斑点のある緑にしか発色しないのが合成水晶の難しいところ。
　強アルカリ性の熱水溶液の温度やPH濃度の微妙な調整等々、数限りない難関を突破して、ようやくエメラルドのような色合いの水晶の合成が可能となるのです。
　そんなに苦労して合成された緑水晶ですが、まともな宝石業界には全く見向きもされず、怪しげな露天でたたき売りされる、どれでも千円均一の宝飾品に使われる程度の需要しかありません。

　These green quartzs are certainly manufactured in Russia. Russian scientists have dominant skill in quartz synthesis technology because the Soviet government extended a considerable effort for military purpose. It would have been a personal motivation for fun and curiousity of Russion scientists to challenge of growing colorful quatz crystals.
The emerald-like green quartz requires absolutely delicate crystal growth controls with high iron impurity diffusion.
Despite their success, colorfull quartz are entirely ignored from gem industry and general consumers except by fake traders.