新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)
November | 2021 | : | 灰曹長石 ( Oligoclase) |
2.08ct 11.1x6.8x5.1mm | 6.88ct 16.1x10.6x7.3mm |
Madagascar | Tanzania |
マダガスカルの灰曹長石 (Malagasy Oligoclase)
灰曹長石 ( オリゴクレース ) は数ある長石グループの鉱物の中では最も地味な種類です。
かつては、ルースとしてカットされるような品質のものは滅多に無く、Gems & Gemology 誌の1981-2013の33年間の索引に一度も掲載されないほどの存在感のない宝石です。
しかし、2007年ごろからケニアとタンザニアからごく淡い緑や青のオリゴクレースが登場し、2016年ごろから、詳細な産地は不明ですが、マダガスカル産のアクアマリンのような色合いのルースが散発的に姿を見せるようになりました。
大半は1カラット未満の小さなルースでしたが、今回初めてやや淡色ながら2カラットを超える大きなルースに出会いました。
本当にこれがオリゴクレースなのか、レーザーによる反射ー屈折率換算の屈折率測定値が 1.614 とかなり高い値を示し、アンブリゴナイトと表示されました。
この色であればその可能性があるので、改めて手持ちの他の6個のルースと慎重に測定し直した結果、1.516 の値が得られ、やはりオリゴクレースと判断しています。
2.08ct R.I. : 1.516
タンザニアの灰曹長石 ( Tanzanian Oligoclase)
2000年代初頭頃、タンザニアから宝石質のオリゴクレースが登場しました。 詳細な産地は未だに不明ですが、最新のMINDATAでは、ザンビア国境に近い Lake Rukuwa 最南端から20㎞南の Mbozi complex にオリゴクレース産地が出ています。
透明度が非常に高く、微かに淡青色を帯びているのが特徴です。
今回入手したルースは、6.88カラットとかなり大きなものですが、
内部に肉眼でははっきりと確認できない微細な内包物が層を成して存在し、照明の角度による乱反射で霞のように見えます。
恐らく結晶の一部に正長石のナトリウム成分を含み、月長石のような効果が引き起こされているのでしょう。
屈折率の測定値は1.535 と灰曹長石の上限近くを示しました。6.88ct R.I. 1.535