新着宝石展示室
(New Gemstone Gallery)


October 2010 : 橄欖石(Peridots & forsterites)


ペリドット (Peridot) 
2.65ct 11.0x8.8x4.2mm
フォルステライト(Forsterite)
0.21ct 4.2x3.6x2.1mm
橄欖石結晶(Peridot crystals)
20x19x10mm 23x9x8mm
中国 吉林省 Srilanka Suppat, Pakistan

中国吉林省のペリドット(Peridot from Jilin, China)

  中国吉林省のペリドットを最近時折見かけるようになりました。
中国では1979年に北京の北西150kmの河北省宣北に宝石質のペリドット鉱床が発見されました。
 その後広東省産とされる9.1ctの大きなペリドット・ルースを入手しましたが、正確な産地についての情報はありません。
 広東省の最西南部には海南島に連なる玄武岩溶岩の噴出地帯がありますから、ペリドットを産する可能性は大いにあります。
 吉林省のペリドットも産出に関する正式な報告はありませんが、河北省、広東省と同様に東部の北朝鮮国境地帯とその北部に広大な玄武岩溶岩地帯があり、ペリドットを産しても不思議ではありません。
 中国のペリドットはいずれもアリゾナ産と同じ玄武岩溶岩中の団塊から宝石質の透明な部分をカットしたものですが、いずれも褐色味を帯びない、明るい黄緑色の美しい色合いが特徴です。
2.65ct 11.0x8.8x4.2mm

フォルステライト( Forsterites )
0.21ct 4.2x3.6x2.1mm 2.48ct 3.54ct
Srilanka Birma Pamir Mountains
 ペリドットは鉄橄欖石 (Fayalite : Fe2SiO4) とマグネシウム橄欖石 (Forsterite : Mg2SiO4) との固容体として発見されます。
 一般には鉄橄欖石が20%、マグネシウム橄欖石が80%の成分比で黄緑色のものが宝石としてカットされます。
 極めて稀ですが、鉄橄欖石成分を殆ど含まない(0.1%程度)ほぼ純粋なマグネシウム橄欖石が採れることがあり、透明なものがカットされることがあります。
 多くはスリランカの水磨礫からの1カラット以下の小さな石ですが、稀に大きな石が採れることがあり、話題になります。
 写真のビルマ産とパミール山脈産は奇しくもほぼ同じ時期に登場し、”Gems & Gemology Fall 2008”に取上げられました。
 無色透明なフォルステライトは珍しいだけで宝飾品に使われることは決してありませんが、稀に大きなルースが登場したために詳細な分析が行われました。
 その結果、いずれも0.1−0.34%の微量の鉄成分の含有とさらに微量のクロムによる647nmをピークとする蛍光吸収特性とで、レーザー用として合成される人工のフォレステライトとは識別できることが判明しました。
 ビルマの Dattaw からは1〜2カラット程の比較的大きなルースがまとめてカットされました。
 パミール山脈のフォルステライト、タジキスタンのKukh-i-lal地域の斜ヒューム石やスピネルを産するスカルン型の宝石産地から少量採掘されたものです。
パキスタンのペリドット結晶(Peridot crystals from Suppat, Pakistan)
  世界のペリドットは殆どがアルカリ玄武岩溶岩中に団塊として発見され、大きく透明なものが宝石としてカットされます。
 1992年にパキスタンのカシミール山脈の標高4200m地点に発見されたペリドット鉱脈は、宝石質の大きく美しい結晶が豊富に採れることで注目を集めました。
 しかし美しい結晶は大半がカットされてしまいます。稀に包有物が多くカットに向かないものが結晶標本として市場に姿を見せます。

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