新着宝石展示室
(New Gemstone
Gallery)
October 2015
: サファイア (Sapphires)
サファイア (Sapphires) 0.92 - 1.44ct |
マダガスカルのサファイア
1.21ct 7.2x7.2mm | 1.44ct 7.8x5.6mm | 1.12ct 7.0x6.0mm |
タンザニアと並び、近年マダガスカルは世界で最も重要なルビーとサファイアの供給産地として台頭して来ました。
最初の赤紫と橙を帯びた淡褐色のサファイアは、ほぼイラカカの広大な漂砂鉱床産と思われます。
恐らく、ペグマタイトや変成岩起源と考えられるイラカカのサファイアは不純物の鉄分が少なく、ピンクや紫を主とする、
多彩な色合いで知られています。
3番目の1.12カラットの暗青色のサファイアは恐らく北部、アンボンドロミフェイ産の玄武岩起源でしょう。
鉄分が多く、加熱処理により、辛うじて透明度が得られるほど濃い色合いです。
よく見ると青に加えて暗緑色も入っていて、典型的な二価と三価の鉄イオンによる格子間電荷移動による発色です。
右の二つはネット・オークションに掲載の写真ですが、どう眺めても実物とは似ても似つかない発色です。
どうやったらこんな色合いになるのか ?
3日かけて照明等を変えつつ100枚ほどの写真を撮り、どうやら肉眼で見たのに近いのが中央の写真です。
右の2枚の写真と似ているのは殆んど透明度に欠ける暗い色合いと言うことだけです。
アフリカのサファイア
アフリカ産とありますが、正確な産地は不明です。恐らくはタンザニアかマダガスカル産と思われます。
煙状と固形状と多くの包有物を含む低品質のサファイア・ルースですが、黄緑色のサファイアは滅多にありません。
ハート型のカットは写真に撮ると周囲が真っ黒になり、中央部がいろぬけになるため、最も撮影に手間のかかります。
この写真も半日かけて数十枚、あれこれ試した挙句、何とか実物に近い色合いに仕上がりました。
自分で現像できないフィルム写真の時代であったなら、到底、様にならなかったでしょう。1.27ct 7.05x6.29mm
タンザニアのサファイア
タンザニアでは1950年代末にケニア国境のウンバ川流域に、また1990年代半ばには南部のトゥンドゥルー周辺の数千平方キロメートルの広大な漂砂鉱床が発見されました。
いずれもペグマタイトや変成岩起源の漂砂鉱床にルビーやサファイア以外にもアレクサンドライト、ガーネット、スピネル、ジルコン等々、実に多彩な宝石の産地として注目を浴びています。
1.18カラットのやや黄色味を帯びた緑のサファイアは恐らくトゥンドゥルー産と思われますが、稀に見る透明度の高い美しい色合いです。
緑のサファイアはスリランカでも稀に採れますが、暗緑色であったり、くすんだ灰色の半透明〜亜透明なもの等々、標本級の品質が大半を占めます。
1.18ct 10.1x5.2mm
カンボジア、パイリンの非加熱サファイア
カンボジアのサファイアはタイの産地と連続する玄武岩起源の漂砂鉱床に産し、ほぼ全てがタイで加工されますから、あえてパイリン産と素性が分かる例は滅多にありません。
0.92カラットのサファイアは宝石商が直接パイリンで透明度の高い美しい原石を仕入れ、加熱処理無しでカットしたという珍しく素性の明らかなものです。
小さいながら、玄武岩起源でこれほど明るく透明度の高いサファイアが存在するのは殆んど奇跡的といっても過言ではありません。
同じ玄武岩起源のオーストラリア産のサファイアにも、稀に澄んだ青いサファイアがありますから、たまたま鉄分の少ない環境で結晶が成長することもあるという興味深い例です。0.92ct 6.7x4.6mm
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